第86話 デジャヴの様な現実を ページ40
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廊下を歩いている時、セブルス君がふと立ち止まって一点を見つめる。
特に珍しいことではないので私も彼に合わせて立ち止まる。
視線を追った先は、赤毛の美しい少女。
学校の庭で友人と楽しそうに談話している。
時々笑い声が含まれつつ、キャッキャとエネルギーに満ちた年頃の女の子の可愛らしさと美しさが前面に溢れた空間だったと言える。
セブルス君の表情は、慈しみにあふれていて、
そしてどこか切なげだった。
ああ、この人は恋をしているのだと、そう思った時には私は胸が締め付けられるような心的苦痛に襲われていた。そしてどこか嬉しかった。
私はリリーではない。
私は少し世の中を知り過ぎた。
周りと自分の精神年齢の差を、考え方の違いを目の当たりにした。
世間の行き辛さを、人生の不条理を知ってしまった。見てしまった。
恋を知るには、少し遅かった。
リリーのようはなれない。何度も何度もそう自分に言い聞かせてきた。
セブルス君を幸せにできるのはきっとリリーだけなのだろう。
だからセブルス君にだってリリーを幸せにできる。セブルス君が好きになったのがリリーでよかった。
私が幸せにしたいと思った２人でよかった。
リリーで、よかった。
「＿＿＿きれいな子、」
リリーを見ていると、そんな言葉が口から溢れるように飛び出した。無意識だった。
ビスクドールのように白い肌。手入れが成された燃えるような赤毛。２つのエメラルド鉱石は見た者すべてを魅了するのだろう。
セブルス君がこちらを向いて、微々たる驚きがこもった表情をした後に柔らかく微笑んだ。
その意思が強く篭った目を見て、私はこのままで良いのだと思った。
敵わないままでいい。叶わないままでもいい。
私はきっと、この醜く美しい想いを決して忘れはしないのだから。だから何重にも鍵をかけ鎖を巻き、大切にしまっておくのだ。
だから、せめて側に居させてはくれないか。
あなたの隣で、そのヒオウギの実ような瞳を横から見つめていられるのなら、私はもう何も要らないから。
(……、こんなこと、前にもどこかで……)
デジャヴというには現実味のある奥底の記憶の引っ掛かり。ゆっくりと思い出そうと奮闘すれば、段々と情景が浮かび上がってくる。
______初対面は…マダム・マルキンの洋装店？
いや、きっと違う。
もっと昔………これは…
その瞬間、私の頭の中に遠く懐かしい記憶が蘇った。
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亜京目(プロフ) - 有難うございます！ストレートな褒め言葉に顔のニヤケが収まりません…これからもよろしくお願いします。 (2018年12月4日 20時) (
レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんにちは、初コメ失礼致します。物語の設定とか描写の仕方がドストライク過ぎてとても好きです(^^) これからも更新楽しみにしてます。体調など崩されぬようご自愛くださいませ。 (2018年12月2日 14時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 雨さん» コメント有難うございます。最近の話の流れが難しく、四苦八苦しながら更新している状態です。ですが必ずまとめてみせます。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2018年9月22日 16時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 頑張ってください！更新楽しみにしてます！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - fairy taleさん» 暖かいお言葉をありがとうございます。自分の好きなように書いている物を読んで頂いていること、誠に感謝しております。これからもどうぞご愛読の方よろしくお願い致します。 (2018年8月29日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜京目 | 作成日時：2018年8月17日 22時
