第64話 目が眩むほどのぬくもりに ページ18
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リリーの瞳は揺れていた。私がさっき言葉に困った時の様に、彼女もまた、口に出すことに迷っていた。
言ってしまえば自分は楽になる。自分はそうでも、相手がそれを聞いてどう思うかは分からないのだから。
そして彼女は，口に出すことを恐れる人に、進展はないことも知っていた。彼女は想いやりを忘れない人で、しかし聡明であったから。私はまたリリーを困らせてしまったと若干の後悔をして、彼女を待った。
「……私は、Aがどうしてブラックのことを聞くのかも、分からないわ。さっぱり見当もつかないの」
「……」
「でも、私がそれを聞いたとしても、あなたは話したがらないでしょう？」
「…それは……」
そんなことはないと、すぐに否定できなかった自分に嫌悪の念が湧く。
リリーが言ったことは、少なからず当たっていたし、思い返せば私は無意識にブラック家と私の関係性についての話題を避けていたのだ。
関係というほど結束はしていないものの、ブラック家とAは近からず遠からずの距離であった。
＿＿＿そうかもしれない、でも
私はきっと話さない。けれど、それは今の話。
私の考えを外に吐き出すには、もっと、もっと沢山の確証と事実がなければならない。
そうでなければ、臆病な私はきっと成すことができない。
リリーにはあって私にはないもの。
それは、勇気。
「…私は臆病だから、口に出すのをどうしても躊躇ってしまう……笑えるよ、リリーに聞いておいて、私は何も…語れない」
初めてできた大切な親友を困らせて、曖昧な言葉で濁して、こうやって自分を卑下して……こんな時だけは本当によく口が回る。ポッターの言ったことも、間違いではなかった。
「……臆病とは、慎重で注意深いということよ。臆病なんて言い方しないで。貴方の良い所なんだから」
＿＿初めての魔法薬学、覚えてる？貴方が怪我したこと。あの時のAは本当に考え無しよ。でも良いの、考える前に体が動いちゃうこともあるじゃない。
しみじみと、リリーは静かに話を続ける。
＿＿Aは語れないんじゃないわ、語らないのよ。
目の前の少女は本当にあの無邪気なリリーか？
本当に私の知るリリーなのか？
そんな錯覚が頭をよぎるほどに、リリーの雰囲気は大人の女性が持つそれと同等だった。
「私はあなたを信じて待つことにするわ。だから、いつかきっと、すべてを話してね」
リリーの微笑みに、 私は確かに母の像を見た。
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第65話 長い旅路の始まりだった→←第63話 知識欲は溢れ得るか
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亜京目(プロフ) - 有難うございます！ストレートな褒め言葉に顔のニヤケが収まりません…これからもよろしくお願いします。 (2018年12月4日 20時) (
レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんにちは、初コメ失礼致します。物語の設定とか描写の仕方がドストライク過ぎてとても好きです(^^) これからも更新楽しみにしてます。体調など崩されぬようご自愛くださいませ。 (2018年12月2日 14時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 雨さん» コメント有難うございます。最近の話の流れが難しく、四苦八苦しながら更新している状態です。ですが必ずまとめてみせます。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2018年9月22日 16時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 頑張ってください！更新楽しみにしてます！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - fairy taleさん» 暖かいお言葉をありがとうございます。自分の好きなように書いている物を読んで頂いていること、誠に感謝しております。これからもどうぞご愛読の方よろしくお願い致します。 (2018年8月29日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜京目 | 作成日時：2018年8月17日 22時
