#16 訪い ページ17
日曜日。進捗が遅くなった小説を見てシャーペンをくるくる回す。完全に恋愛の台詞に行き詰まった。すると施設の先生から電話がきた、と興奮気味に言われた。興奮気味なのはその電話主のせいだったからだ。
「••••もしもし、九条です」
なんだなんだ、と女の子達が集まってきたのを横目に応える。
「はい、こんにちは、何でしょう」
緊張して声が裏返った。有名人と電話なんて夢のようだ。
「理が今日来てほしい、と言ってるんですけど、大丈夫ですか?」
「あー、はい、私は大丈夫ですけど、一応環に••••理の兄にも言ってみますね」
そこで会話は終わり、受話器を下ろした。笑顔のない事務的な内容のように思われたのか、周りの興味は少し冷めたようだが、質問は尽きなかった。知り合いなの、どういう関係なのと、皆知りたがりで困ってしまった。ちょっとね、と曖昧な返事で済ませて環に連絡した。
内容はサプライズにするとして、環に一応行けるか言ってみる。休んでて、と言ったのに迷惑かなと思ったが待ち合わせすることになり、制服で街の中へ飛び出す。行きはわくわくして早足になる。感動の再会だ。私は先に再会しちゃったけど。
街の街頭にもたれかかって待っているときょろきょろしている環が目に入り、手をふる。近づくと身長差がありすぎて首が痛くなる。
「今日はどこ行くの?」
眠そうな彼を振り回して申し訳なさを感じる。
「秘密。っていうか、眠そうだけど大丈夫?」
彼の頬をむにゅっと触るともやもやとあたたかくて眠気がこちらにも伝わってくる。環はちょっと笑って大丈夫、と言う。
とりあえず、理の家に向かうことにした。
「手、繋ご」
何歩か歩いたあとに後ろから環が言う。人目があるし、と思ったが彼が手に触れてきたので自然に繋いでしまった。なんだか付き合ってるみたいじゃないか。恥ずかしくなる。
彼は小さい頃と変わらないと思ってるのか気にせずに戸惑う私に『?』とクエスチョンマークを投げかけている。純粋に手を繋いでいるだけなのか。
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なつめみく - ええええ?!神!!すげーはまった!!なんか、たまきってめっちゃ可愛い!!今まで三月推しだったから盲目すぎて三月にばっか結婚しようとかいっちゃってたけどたまきも推しになりそー!!!がち可愛い!!! (9月28日 16時) (レス) @page26 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年7月13日 22時