#4 距離 ページ5
木の枝で地面に理想を書いていた。どういうところに行きたいか。
泣いて嗚咽を漏らしながら、たくさん書いた。星屑のを散りばめたようなキラキラしている波が立つ海。山から見える羊みたいな雲。
「A!」
人の影が私に重なる。上を見上げるとそこには息が上がっている環が居た。
「なんか、柵から出てくの見えたから、探して、来た。」
息を切らしながら、とぎれとぎれに話している。そして頬を伝った涙を指で拭われた。彼は私の隣に座って少し休む。
「なんで泣いてんの。」
過呼吸事件があったからか、座る場所になんとなく距離があった。また過呼吸になられたら困ると思ったのだろう。彼なりの遠慮だ。
「寂しかった。」
そう私が目を擦りながら言うと、ちょっと距離が近づく。いや、ちょっとどころじゃない。結構距離は近づいて、気づいたら抱きしめられていた。人のぬくもりが伝わってきた。とてもあたたかいし、心もぽかぽかしてくる。こんなあたたかいのは初めてだ。
「こうすると寂しくないよ。」
耳元で優しい声で言われる。余計に涙が出てきた。
それは寂しさからじゃなくて、暖かい涙。
「俺もあったかい・・・・。」
するとこてん、と彼の頭が肩に乗る。ゆっくりとした息遣いが感じられた。寝てしまったのか、全体重がのしかかってきて、後ろにあった木に寄りかかる。成長期の男の子なので結構重かった。なんでこの状態で寝れるのかと思った。そういえばと先生から聞いたことを思いだす。環は昨日の夜、私の心配で寝れなかったそうだ。
私も病院で緊張してろくに寝れなかったので眠くなってきて、目を閉じた。
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なつめみく - ええええ?!神!!すげーはまった!!なんか、たまきってめっちゃ可愛い!!今まで三月推しだったから盲目すぎて三月にばっか結婚しようとかいっちゃってたけどたまきも推しになりそー!!!がち可愛い!!! (9月28日 16時) (レス) @page26 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年7月13日 22時