榎本径の奥さんになってからも

二話 ページ2

…片手にきいを抱きながら…奥様方に囲まれる径…笑

…てゆーか、奥様方…あたしはシカトですかっ!!
ありえないっつーの!!←笑

あたしのことなんて、見えてないみたいに…径のまわりを、黄色い声を上げながら騒ぐ奥様方…
径は相変わらずの無表情…だけど…

径の隣にいた奥様方の一人が、きいを見て…シミジミと呟いた…

｢ほんとに、きいちゃん…可愛いのね♪｣

その言葉に、径の形のいい眉がピクリと動く…！

径｢…本当、ですか…？｣
そう言って、首を傾げる径に、その奥様はにこにこしながら微笑んだ。

｢ええ♪パパ似なのね！とっても可愛い♪｣

径｢…ありがとう、ございます…♪｣
ちょっと…恥ずかしそうに、小さく微笑む径…

そんな径を見て…その奥様はちょっと目が…ハートになってる…!?

も、もぉっ!!
径ってば…そんな可愛いカオ…他の女の人に、見せないで…
…そんな甘い笑顔で、他の女の人…見つめないで…！

あたしは慌てて、径と奥様方の間に身体を滑り込ませる…！←笑

A｢す、すみません!!もうっ、行きますからっ!!｣

ハートの瞳で径を見つめる…奥様方を振り切り、あたし達はマンションを後にした…

…油断もスキも…あったもんじゃない…！笑

…涼しげな瞳で、きいを見つめながら歩く径の横顔をあたしはそっと覗きこむ。

…仕事はお休みだけど、キチンと締められた…いつもの黒と赤のニットタイに、黒のカーディガン…きいを抱く、細いけど意外に筋肉質な腕…きいを見つめる、眼鏡の奥の優しい眼差し…

…こんなカッコいいパパ…他にいない…←相変わらず、ベタ惚れですね…笑

だから…奥様方に径がモテるのも…仕方ない…けど…

唇を尖らすあたしに、気づいたのか…径はクスリと微笑んだ…

径｢…どうか、した…？｣

A｢べっ、別に…どーもしてないもんっ!!｣

…マンションの奥様に、ちょっとヤキモチ妬いちゃったなんて…言えない…←笑

そんなあたしの気持ちを見透かすように、径はちょっと笑って…あたしの耳元に唇を寄せる…！

径｢…可愛い…｣

耳元を掠める径の吐息と低い声に、あたしは思わずドキリとする…！

A｢えっ!?｣

径｢今日の服…初めてみました…似合ってる…｣

…径とデートする時に着ようと思ってた、下ろし立ての春色のワンピ…

…径ってば…ズルい…
いつもそうやって、あたしのこと…ドキドキさせる…

あたしを見つめる…径の優しい眼差しに、ドキドキしながら…あたしは径の隣に寄り添った…

三話 径→←一話

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