幸せはきっと僕の手の中に…

14話 健太 ページ14

健太｢…笑わ、ねぇの…？｣
予想外の彼女の反応に…唖然とする俺…

A｢笑うなんてっ！どうしてですか？｣

健太｢…だって、子供番組だぜ!?｣

…どー考えたって…ばかばかしいだろ…

そんな俺の心の声が聞こえたかのように、彼女は優しく微笑んで、ゆっくりと話しだした…

A｢…夢のある、お仕事じゃないですか…あたしも、小さい時…よく見てたなぁ。…うち、母子家庭で…夜遅くまで母が仕事してたから…家に帰ると一人で毎日見てました…｣

…ポツリポツリと話す彼女の瞳が、一瞬寂しげに揺らめく…
…普段のほんわかした彼女からは想像できないくらい…その瞳は儚げで…俺は思わずドキッとした…！

A｢…一人で、母の帰りを待ってるのは寂しかったけど…テレビの中の、歌のお兄さんと一緒に歌ったりして…その時だけは…家に一人って…忘れてて…あっ！す、すみません…こんな話し…｣

健太｢…いや、別に…いーけど…｣

さっきより、彼女のおっきな瞳が輝いて見えるのは…店内の照明のせいなのか…それとも…
…涙…!?

A｢と、とにかく！素晴らしい、お仕事だと思います♪｣
両手を握りしめてコーフン気味に話す彼女に、なんだか説得させられたような気分になる…笑

…まぁ、そんなふうに言われて…悪い気は…しないな…←単純ですね…(笑)

健太｢…そっか…！｣

A｢…それに！こんなカッコいい歌のお兄さん、今までいないし…！｣
そこまで、言って…急に、両手で顔を隠して俯いた…！

…えっ!?…てゆーか、カッコいい…って？
…ひょっとして…俺のこと…!?

俯いた彼女の顔は…耳まで、赤い…笑

………ばか…ほんとに……
……………カワイイじゃねーかっ!!←笑

…そんなこと言われて、どう答えればいーんだよっ!?

意味もなく、咳払いをする俺…笑
…その時、タイミングよく注文してた料理が運ばれてきた…笑


…そもそも、なんで俺が歌のお兄さんになったかってゆーと…
この間、俺を落とした面接官の女…
子供番組のプロデューサーなんだと…！
俺の声が気に入って…もう一度、面接してみないかって話しになったんだ…
で、採用されたわけ…
バンドのボーカル…やってたし…
それなりに、歌には自信…あったけど…
…今は……そーじゃ、ねぇし…。

…彼女に聞かれるがまま、今までのことをざっくりと話したけど…

A｢バンド、やめちゃったんですか？｣

健太｢…ああ…｣

彼女の問いかけに、俺は…曖昧な返事しか、できなかった…。

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