幸せはきっと僕の手の中に…

12話 ページ12

愛しいその声のする方に顔を向けると、そこには…両手をポケットに入れて佇む…健太さんの姿…！

健太さんの声に気づき、あたしの肩に手をまわしていた男の人は、慌てて手をどける…

健太｢…行くぞ…｣
…一言だけ、そう呟き、健太さんはくるりと背中を向けて歩きだした。
あたしも慌てて健太さんの後を追いかける…！

…ま、待って！健太さーん！←笑

大股でどんどん歩いていく健太さんに置いていかれないように、あたしは小走りでついていく…

…暫く無言で歩くあたし達…
すると、突然…健太さんはピタリと脚を止めた…

健太｢…さっきの奴…知り合い…？｣

A｢いえ…全然知らない人です…いきなり話し掛けられて…｣

健太｢…ナンパだろ…｣
そう言って健太さんは、また歩きだす…

A｢ナ、ナン…パ…？｣
思わず首を傾げるあたし…

…そーいえば、一人でいる時…よく声かけられるなぁ…って思ってたんだけど…
あれって、ナンパ…だったんだぁ…←て、天然!?笑

あたしの心の声が聞こえたのか(笑)健太さんは再び脚を止め、大きくため息をつく…！

健太｢…だぁ〜っ!!もう！お前！そんなんだから、つけこまれんだよっ!!｣
そう言って健太さんはちょっと怒ったように、あたしを見つめる…

…なんか、よく分かんないけど…あたし、怒られてる…？←笑

A｢す、すみません…｣

健太｢もっとしっかりしろよ…！｣
ため息をつく健太さんを見て…なんだか申し訳ない気持ちになった…けど…

A｢…で、でもっ！…健太さんが来てくれたから…あたし…｣

思わず俯くあたしに、健太さんは怪訝そうにあたしの顔を覗きこむ…

A｢…その…健太さんが来てくれて…嬉しくて…ありがとう、ございます…♪｣

…自分の顔が、赤くなるのが…分かる…
でも、健太さんが来てくれて…嬉しかったんだもの…
あたしは満面の笑顔で健太さんを見上げた…

あたしを見つめる健太さんの瞳が、照れたように優しく微笑んでるみたいで…
あたしは健太さんの瞳から、目が…離せない…

…長いような…短いような…一瞬の時間…
この時間が…ずっと…続けばいいのに…

でも…あたしの気持ちとは裏腹に、健太さんはくるりと背中を向ける…

健太｢…腹、へった！今日は何、食わしてくれんの？｣
そう言って健太さんは、クスリと笑い、ポケットに手を入れて大股で歩きだした。
そんな健太さんに置いていかれないように、あたしはちょこんと…彼の洋服の裾を…しっかりと掴んだ…。

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