姉さん 。【伊黒小芭内】

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「食欲無いかもしれないけど、君は今栄養失調だから少しでも栄養とらなきゃ」








“ はい “
と、そう言いながら俺の口元に匙を持ってくる
俺が座敷牢で出された物とは違う








「……油物じゃない」








ぼそっと俺がそう呟くと女の人は一瞬眉間に皺を寄せた
そして、“ 病人にそんなもの出すわけないでしょう？“と言う








「油物なんて食べたら気持ち悪くなるに決まってるし、それにその状態で食べたら絶対身体に悪いから
だから今の君にはこの林檎のすりおろし」








“ 君の身体が良くなったら美味しいもの食べさせてあげるからね “
と、微笑みながらそう言った
俺は恐る恐るゆっくりと口元の包帯をほどいていき、口元に差し出された匙を口に入れる









「無理しないで食べられるだけでいいからね」









そう言いながらゆっくりと俺に食べさせてくれる

食べ続けること数分
目眩がし倒れそうになる、が倒れようとした俺を抱きとめてくれた
そしてそのまま俺をゆっくりと横にする








「身体はまだ大丈夫じゃないみたい
起きてから口の包帯巻き直そうね」








微笑みながら、初めて会った時と同じように俺の頭を優しく撫でる
それをされたのと同時に俺の目から涙が流れた

そして、目を見ながらこう聞いた









「…どうして、俺なんかにそんな優しくしてくれるの？」









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