【銀魂】はじめまして。木刀【刀剣乱舞】２

52.好かない奴 ページ12

「…ほんとにそうですよね」


一言呟いて包帯をキュッと締めた
三日月はそれに苦痛の声を漏らす


「自分のことを守れやしない。そりゃあ他の子も守る事は大切ですが自分を守らなきゃ後は誰が短刀達を守るんですか？」


それを問うと三日月は自分を見つめてきた


「後悔するのは三日月さんだけじゃないんですよ。抗って生きる人の身は辛いだろ」

「はっは……Aは優しいな」

「はい？」

「Aの持ち主は余程人想いだったようだ」

「え、そうですか？そうですかね？…へへへ…」

そう言われたのは初めてで少し誇らしくなる


「俺はたくさんの持ち主を渡り歩いてきたがやはり良い持ち主に渡ればどこか落ち着くような気がした。ぺっとは飼い主に似る、だったか。あれと同じだろうな、俺たちは」

「皮肉ですか？ネガティブってるんですか？」

「ははは、なあに、例えだ例え」


話が大分逸れたので良いことを言ったと思った自分が馬鹿らしくなる
包帯を結び、三日月の着物を着せようとすると三日月はその手を止めた


「最後の仕上げを忘れてた」


そう言うと、机の引き出しから何かを取り出す三日月
首を傾げ待っていると三日月からソレを渡された


「…何だこれ」

渡されたのはうさぎやねこ、犬やくまなど可愛らしいキャラクターが描かかれたシールだったのだ


「だいぶ前に短刀達から貰ってな。何やら怪我した包帯の上から貼ると怪我が治るらしい。ここの本丸は手入れ部屋が少ないだろう？そんな時に使ってと言われてな。お守りのようなものだと言っていた」

「貼ってはくれないか？あ、ねこのシールで頼む」と三日月から頼まれプッ、と吹き出してしまった

「何かおかしいか？」

「だって心配してる子達から心配されてるなんて可笑しくないですか？」

「そうか？」

「大切にされてるんですね。三日月さん」


ねこのシールを１枚取り包帯の上から貼る


「ん、恩に着る」

「もう怪我なんてしないで下さいよ。…私も余り怪我した人見たくないので…」

「何か言ったか？」

「いいや、何でもないです」


救急箱の物をしまい、立ち上がろうとしたら手を掴まれた
そしてその手の甲に柔らかい感触


「お礼だ。受け取ってくれ」

「…次やったら三日月さんの〇〇〇、捻り潰しますね」

服に手の甲を擦り付けながら微笑んで部屋を出た








「本気だったのだがな」


まあいいか、と笑い声が三日月の部屋に響いた

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