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最後の文化祭は、あっという間に
終わりの時間を迎えようとしている。

2年の教室から聞こえる叫び声
きっとお化け屋敷か何かかな。

女子生徒が頬張るクレープやタピオカドリンク。
藤ヶ谷甘いもの好きだから、
差し入れでも持って行けば良かったな。

周りは凄く楽しそうなのに
こんなにセンチメンタルな気持ちで校内を歩いてるの俺だけなんじゃね?
なんだか1人だけ取り残された気分だ。


時刻は13時32分
最後の公演が始まった頃だろう。




「あっ!北山発見!探してたんだよ〜」

階段を上がっていると上から五関が降りて来た。

「おーごっちお疲れーーなにー?」

「劇見に行った?」


…いきなりそれですか。


「あー観に行ってない、けど」

「マジ?俺も観に行けてないんだよね〜!一緒に行こうよ!」


もう始まってる頃だよな〜なんて
楽しそうに階段を上がる五関。

嫌だ〜…嫌だ嫌だ〜〜
行きたくないけど強引に誘われると断れない性格の俺。


しかもお昼ご飯食ってない…
焼きそばとか食いたかったなぁ

せめてどっか寄ってから行きたかったけど
気付いた時にはもう教室の前まで来ていた。



「あ〜北山と五関!やっと観に来たか!」

「もう始まってるよ〜〜」


受付担当の生徒に早く入れと背中を押され、
俺たちは教室内に入った。


「わ〜っはっは、藤ヶ谷王子めっちゃ似合う」

五関が少し控えめな声で俺に耳打ちする。
うん、確かに。似合う。かっこいい。


「んね、」




教室の一番後ろから見る劇は、

俺には手が届くはずのない
遠い、夢のお話だった。







「丁度いいところに北山!背景の交換手伝って!」


「えっ、俺今見てんだけど」

「担当のやつトイレ行ったっきり帰って来なくて人足りてないんだよ〜」


強引に腕を引っ張られて、
担当の大道具がスタンバイする位置まで連れて来られる。

なんか今日強引なやつ多くね?
…最後の文化祭だし、みんなテンション上がってんのかな。


「はいこれ、宜しく!」


渡された背景は、キスシーンで使われる時の物だった。



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設定タグ:藤北   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:はむ | 作成日時:2017年4月20日 23時

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