ヒョンと僕 (ページ9)

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両親が亡くなった。

優しい人たちだった。

アイドルになりたいなんてわがままを許して、ずっと応援してくれた。

日本で練習生になったのだって、父の転勤にどうしてもついて行かなきゃダメだったから、日本で事務所を探してオーディションまで受けさせてくれたからだ。

こんな優しい人たちがこんなに早くに死んでしまうなんて可笑しいよ。

でも両親が亡くなっても、デビューは待ってくれなかった。

悪い事は重なるもので、ヒョンの新大久保アイドルを辞める時期と重なった。

優しかった両親と、好きな人が居なくなる。

過酷な練習、過酷なダイエット...。

そう、倒れたんだ________

両親の事もヒョンの事も受け入れたつもりでいた。でも、ただのつもりだった。

子供だった僕にはその事の重さに耐えられなかった。

だから、ヒョンにお別れを告げる事もできず、夢だったデビューも逃した。

ただ悲しかった。

そして逃げるように事務所を辞め、ヒョンの脱退を待たず、別れ挨拶もせずに祖父母の居る韓国に戻った。

その後は、逃げ出してもそれでもどうしてか辞められずにいたダンスや歌をストリートダンスやカラオケで発散していた。