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そう、女の子
別に僕が性転換手術を受けて今の僕であるキム・Aになったわけじゃない。
男装してる女の子なわけでも勿論ない。
ただヒョンが天然で、タイミングが悪かっただけ。
いや、むしろタイミングが良かったって言えるのかな。
あの時________
そう、5年前のあの時...
日本で練習生として過ごしていた僕に希望を与えてくれた貴方。
たまたま立ち寄った新大久保
たまたま立ち寄ったライブ
たまたま目についた貴方
すぐに僕が推していたヒョンだって分かった。
でも、それだけじゃなかった。
たまたまその時に着ていた服が女の子っぽくもなく男の子っぽくない格好で
たまたま伸びていた髪を下ろしていて
たまたま声変わりをしていなかった
たまたま成長期が遅くて、女の子にしては背が高い方かも知れないななんて思ってくれたのかな。
だから天然なヒョンは僕を女の子だと勘違いした。
それでも良かった。
僕にとっては願ってもない事だったから。
だって女の子じゃないと可笑しいから。
だって女の子ならヒョンの事を面と向かって好きと言えるから。
だってアイドルに恋をしたなんて可笑しいから。
だって、だって、だって....。
そうしないとヒョンに会えないから。
ヒョンだなんて面と向かって言った事なんて、言えた事なんて一度もない、ずっとオッパだなんて呼んでた。
初めて会った時に偶然、たまたま女の子に見えるような格好をしていたからだなんて分かってた。
だから、ヒョンに会いに行くためだけにウィッグを買って、メイクをして、女の子の服を着て...。
ヒョンに会いに行った。
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作者名:らい | 作成日時:2023年5月24日 15時