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ああこんなの、あの時以来だ。
昔1度、1年の文化祭で私は固いコンクリートに落下したことがある。
その時できたお尻の痣は2週間消えなかった。
あれ、そういえばあの時、
赤葦観客席にいなかった？
走馬灯のように突然脈絡もなく、あの時心配そうに私を見ていた顔を思いだす。
背番号までは見えなかったけど今の彼と同じユニフォームを着ていた男の子。
もしかして、あれって赤葦だったの？
なんだか落下の時間が長く感じられる。
そろそろかな。
打撲決定、
いや打撲で済めばいいな。
必死で修正しながらもやむを得ない痛みを覚悟した。
「Aっ！！」
誰かに強く体を支えられて、想像していたのとは違う柔らかい感覚。
目を開けると、瑞希が型の上で体勢を崩しながらもなんとか私を支えていた。
回転は明らかに足りていなかったが、
どうやら床以外に着地できたらしくて安心する。
「いける！？」瑞希に叫ばれてハッとする。
安堵する暇もなく、踊り続け、何とか踊り切った。
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「は〜ほんっとにびっくりした！もう！」
踊り終わった私たちはすぐにコートを離れた。
それで今、私は控室で瑞希にばしばしと背中を叩かれ続けている。
『ありがとう瑞希。瑞希が体幹強くて助かった』
「ほんとにね！？」
もし瑞希が咄嗟に受け皿の体制に入っていなかったら…
さっきの落下の浮遊感を思い出してヒヤッとする。
「なに休んでんの、水分補給した人から早く応援準備！」
コーチの声にべったり床に座り込んでいた私達は返事をして立ち上がる。
立ち上がった瞬間、ずきっとふくらはぎの表側が痛んだ。
『…？』
「藍沢」
『っ、はい』
「ぅわ」
瑞希が横で小さく憐みの声を漏らす。
それを横目で制し、少しびくびくしながらコーチのもとに行く。
でもこれは避けられないこと。
型のてっぺんは、皆が憧れるポジションで、
身体能力、体重、高所の得手不得手、誰もが立てる場所ではない。
選ばれたからには、その唯一無二の舞台の華形を演じきる責任がある。
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ハク(プロフ) - 素敵な作品に出会えてよかったです…！！ 優しい言葉の選び方がとても好きです。ありがとうございました！ (2020年6月24日 23時) (
レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - みぅぅさん» そんなことを言ってくださるなんて最高に嬉しいです…ほんとは何回も消そうと思ったんですが、書き続けてよかったです。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: c22b253f54 (このIDを非表示/違反報告)
みぅぅ(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです。書き方もとても綺麗です。惹き込まれる書き方をしていて、とても凄いです…。これからも、応援しています。 (2020年6月11日 16時) (レス) id: 128c00d887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki | 作成日時：2020年6月10日 15時
