6話 ページ7
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「……あのさ」
「何？」
「聞きたいことがあるんだけど」
「……」
「どうして、私に彼氏居る？って聞いてきたの？」
来栖くんは、なにか考え込んでから、私の目を見て言った。
「あれ、友達に聞けって言われただけ。
別に、お前に好意持ってるわけじゃないから、勘違いすんなよ」
「……ふ〜ん」
それを聞いて、ちょっと安心した。
別に、やましい気持ちがあるとかそんなんじゃないけど、
もし私に好意を持ってる生徒と2人きりなんて、気味が悪い。
「その……、友達は、どうしてそんなこと聞いてって頼んだの？」
「そこまで聞く？」
……まぁ、大体察しはつくんだけど……
「お前が可愛いからじゃねぇの」
ぽっ、と心の中に小さな花が咲いた。
なにこの子、素直でかわいい。
「……それより！ずっと前から思ってたんだけど、
あなた、先生への言葉遣いがなってないし、あんたじゃなくて先生って呼びなさい！」
「言っとくけど、その考え方昭和くせーから」
「はー！？
私、平成生まれなんですけど！！」
「今令和ですけど」
「……もう、この、マセガキ！！」
はたと気づいた。
今はなんの時間？
おしゃべりの時間？
……補習の時間。
来栖くんの手元を見ると、
持っているだけで全然動かしてないシャーペン。
四捨五入したらひとつも埋まってないプリント。
「そのプリント、締め切りは明日の朝までね？
それまでに出さなかったら、評価1だから！！
本気だからね、ちゃんとやりなさいよ」
「先生さ、こんなくだらない補習に付き合って、暇なの？
税金泥棒なら早く辞めなよ」
「あなたのせいでしょー！！」
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作者名：くしこゆ | 作成日時：2021年4月5日 15時
