一寸先は恋【オリジナル】 (ページ6)

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5話ページ6

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「先生は、彼氏とか、いるの？」

ドキッとした。
来栖くんは、適当に聞いている風に装っているけれど、
その声には緊張がこもっていた。

けど、その瞬間に緊張していたのは、来栖くんだけじゃない。

今の私には、タイムリーすぎる話題だった。

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『ごめんなさい、別れて』

『……え？』

『自分勝手なのは分かってる。けど、仕事に、専念したくて。』

『なんでだよ……、
付き合うとき、ちゃんと、仕事のことをお互いに理解するって約束で付き合ったんじゃないか。
俺はちゃんと理解してただろ？』

理解してただろ？
＿＿確かに、そう、理解してくれていた。
けど、それは本当の意味での理解じゃない。

『……だからこそ、別れてほしい。……ごめんなさい』

だって、その証拠に、ほら。

これ以上あなたの目を見つめていると、決意が揺らぎそうだったから。
私は、視界からあなたを消した。

『ちょっと待てよ！！』

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別に、好きじゃなかったわけでもない。
理解してくれてなかったわけでもない。

……ただ、ちょっと疲れただけ。
結婚の話も全然出てこなかったし、もう終わりにしてもいいかなって。

「来栖くん」

バッグを背負って帰ろうとしていた彼に声をかけた。

「逃げようとしても無駄。
まだ出してないわよね？プリント」

来栖くんはそれを聞いても焦らなかった。
こう言われることを分かっていたみたいに。
……これは、確信犯だな。

「来栖くん。分かってるわね？」

「……今日も補習、だろ」

よく分かってるじゃない、この、確信犯め。