一寸先は恋【オリジナル】 (ページ2)

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1話ページ2

「マジかよ！！」

それは、喧騒にまみれた教室を静かにさせるには充分だった。

それが来栖(くるす)の声だと分かった瞬間、生徒たちは気にも留めずまた無駄話を始めた。

「ジャン負け来栖、早く竹咲(たけさき)に彼氏いるかどうか聞いてこいよ～！」

来栖と一緒にいた男子の一人が、強く背中を押した。

「……ったよ、聞けばいいんだろ」

来栖は廊下に顔だけ出して左右を確認したが、先生の姿は見当たらない。

探しにいくのも面倒くさいので、後回しにする。
それに、おふざけだとはいえ、2人きりというのは気まずいものだ。

「来栖、早くしろよ～！
授業始まっちまうぜ！」

「先生がいねーんだよ」

「もう次の教室行っちゃったとか？」

「さぁな。俺に聞くな」

それ以上の会話は、学級委員の声によって止められた。

渋々席につくと、先程の男子生徒が来栖に目でなにかを訴えている。
来栖はそれを無視し、前に向き直った。