第7話 ページ8
「でもさー、Aが男に間違われるのってだいたい喋らないかぼーっとしてるときでしょ？サラリーマンはまだわかるけど、なんで彼に間違われたの？」
トマトをこちらの皿に放り込みながら彼女は問いかけた。
「あー、たぶん寝起きだったからかなあ。私寝起きだとテンションも声も低くなるらしい。」
それを何食わぬ顔で食べながら答えると、あ〜。と返事が返ってくる。
「確かにAは寝起きだと全てにおいて低いもんね」
そうかなｗと答えつつ今日会うことになった理由を聞こうと思い話を切り出した。
「それで、今日はどしたん？」
サラダを頬張りながら彼女にそう尋ねると、突然なんだけど...と話だした。
「私彼氏できたわ」
突然の発表に脳が追い付かず、固まる。
数分後ようやく話に脳が追い付き質問する。
「え、なに、いつから？」
「今日」
「は？」
実はさ〜、と彼氏ができたきっかけを話し始めた。
まとめると、先週職場の飲み会があり、それに参加した際にたまたま近くにいた別の客、彼に一目ぼれされ連絡先を交換したという。
そのあとちょくちょく遊んでいたら自分も好きになっており、今日の昼休みに電話で告白され付き合うことになったということだった。
「へ〜よかったねおめでと」
しっかり感情を込めて言ったつもりがそうは聞こえなかったらしく、彼女はもっと関心を持てと怒りながら言った。
「でも、一目惚れって本当にあるんだね」
そう彼女に問いかけると、Aは？と聞かれ数分前の出来事を思い出す。
確かに顔も声も身長も髪型も、全てにおいてドストライクだった彼。
正直助けられてドキッともした。
けどこれは一目惚れなのだろうか。
悩んでいると店員さんがドリアを二人分持ってきた。
ありがとうございますと言って受け取ると、考えるのをやめて食べ始めた。
「あ、そうそうそれともう一つ、Aってまだフリーターだったよね？」
暫くの間ご飯を食べながら雑談をしていると、いつの間に食べ終わったのか彼女にそう聞かれ、そうだよと返しつつ、手元の皿にまだ残っているドリアを口に入れる。
「あのさ、実は彼が有名な動画サイトでやる生放送とかのスタッフやってるんだけど、今人手が足りないらしいんだよね。Aやらない？」
動画サイトのスタッフか...考えたこともなかった。
考えとくよ、とだけ伝えると最後の一口を平らげお会計を済ませたあと別れた。
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作者名：白虎 | 作成日時：2016年2月12日 3時
