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69話 ページ19

『さねみ……ぶじ?』


実弥はハッとした。

Aは血塗れで倒れていて。


『よかった……』

「なんだよ、コレ……」


実弥が体を起こそうとするが、全身が重たくて起き上がれなかった。

Aの体の上には知らない鬼が立っていて。


『実弥……逃げて……』


Aは最期に笑った。

笑ったかと思えば、次の瞬間、Aの体を拾って吸収した。


「A……」


実弥の目から涙が止まらなかった。


「A!!」


喉が張り裂けそうなほど、大きな声で呼んだ。


『うわっ!!な、なに!?』


実弥が体を起こすと、同時に叫んでいたAの声が聞こえた。

周りを見ると先程の景色とは一変していて、自室だった。

まだ朝は来ていない。もしやあれは夢の中だったのか?


『実弥、どうかした?』


Aも何が何だか分かってない雰囲気で実弥を見ていた。

そうしている間にも、背中を流れる汗や動悸は止まらず、Aに掴みかかった。


「A、血は!?」

『え、なんのはなし?』

「なんの、って、お前、けがは!?」

『足折ってるだけで、他何も無いよ』


実弥は手探りでAの体を服越しに触る。

Aは好きなようにさせていた。

一通り触って安堵したのか、実弥は息を吐いた。


「あれは、夢か?」

『なんの夢見たの?』

「お前が、血まみれで、鬼に食われた……」

『うわーお、また過激な』

「俺もそこにいたけど、体が全然動かせなくて、Aが食われてからようやく動かせたと思ったら、今だったんだ」

『へぇー』


Aは笑顔だった。


「笑うな、こっちがどれだけ」

『実弥、私はここにいるよ』


Aは実弥の右手を取って、自身の胸に押し付けた。


「お、おい!」

『私の心臓、動いてるでしょ?』


そう言われると、確かに心臓の動きを感じる。

これは、生きていなければ感じられない鼓動に、実弥はAを抱きしめた。


「夢で、良かった」


Aは抱きついてきた実弥を抱きしめて、実弥の背中に手を回した。

Aが耳を凝らすと、実弥の鼓動も、徐々に、徐々に、静まってきた。


『よし、寝よ』

「あ?」

『私は眠たい、だから寝る。
実弥、はい、おやすみ!』


そうして、Aは実弥を巻き込んで敷布団に転がると、掛け布団を肩まで被って眠り出した。

たまにしかない休日、ゆっくり休むのも悪くないだろう。

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やぁと(プロフ) - 柚葉さん» コメントありがとうございます!優しい彼を描けて良かったです。ラストはすごく悩んでできたシーンなので、涙を流していただき感無量でございます。ここまで長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたらよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 20時) (レス) @page49 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 完結おめでとうございます!実弥さん推しの私ですが、こんな実弥さん大好きです!ラストは涙流しながら読みました。 (2021年11月25日 19時) (レス) @page50 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 金平糖さん» 再びコメントありがとうございます!どうにか無事に完結を迎えられました!感動的なラストを金平糖様にお届けできて幸いです。長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたら、その時もどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
金平糖 - 完結おめでとうございます。最後の最後でどばーーーっと涙が… 本当に、完結おめでとうございます! (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: 63ca64d519 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 実弥&左馬刻&勝己LOVEさん» 原作とはかなり性格違ってるのでは?と申し訳ないと思いながら書いてるのですが、喜んでいただけて幸いです。これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月14日 23時) (レス) id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月27日 17時

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