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66話 ページ16

二人で話し合った結果。

籍を入れるのはお互いが休みで落ち着いている今にした。

それから、御館様にだけは文を届ける。

一度鬼を狩りに外に出れば、必ずしも生きて帰って来れるとは限らない。

だからこそ、周りには伏せて置くことにする。


『なんか、実感湧かないなぁ』

「そりゃそんなもんだろ、俺たち以外に知ってるのいねぇからなァ」

『まるで秘密みたいだね』

「そもそも付き合ってるわけでもねぇのに接吻してた俺らが言えた義理じゃねェよ」

『それ言わないで』


縁側に座り、暖かい陽の光を浴びながら、Aは深呼吸した。

頭に思い浮かぶのは、師範だった。

こんな自分を育ててくれた、師範。


『ねぇ実弥』

「ァ?」

『師範にだけは、伝えてもいい?』

「……」

『親のいない私を、十一まで面倒見てくれた人だから』


実弥はふと思った。

Aの過去を知らなければ、こちらも教えたことはほんの少しだけ。

それに、カナエが生きていた頃と、Aの今の性格は多少異なっている。

どちらでも、Aは誰彼構わず真剣に向き合ってくれる人だと知ってるから好きになった。

実弥はAと並んで空を見上げた。


「いいぜ」

『ありがとう!』


嬉しそうに笑うA。

Aは鬼を恨んでいるわけではない。カナエや煉獄の時は流石に堪えたようだが。

実弥が黙っていると、Aは笑って話し出した。


『実弥、私の事気になってるんでしょ』

「…ァ?」

『ふふっ、素直じゃないんだから』


実弥は顔を逸らした。

だがAはそんな実弥を横目に、思い出す。


『師範は、鬼だった私の育て親を殺した後、後見人のいない私を引き取ってくれた人なの』

「は?」


唐突な話に実弥は驚いた。


「鬼だったって、どういうことだァ」


Aは幼い頃を思い出した。

あの日々は、夜しか街を歩けなかったが、それはそれで楽しかった。


『まだ六歳だった時にね、私の親と思ってた人が鬼だってことに気がついたの』


実弥はAの言葉に耳をすませた。

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やぁと(プロフ) - 柚葉さん» コメントありがとうございます!優しい彼を描けて良かったです。ラストはすごく悩んでできたシーンなので、涙を流していただき感無量でございます。ここまで長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたらよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 20時) (レス) @page49 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 完結おめでとうございます!実弥さん推しの私ですが、こんな実弥さん大好きです!ラストは涙流しながら読みました。 (2021年11月25日 19時) (レス) @page50 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 金平糖さん» 再びコメントありがとうございます!どうにか無事に完結を迎えられました!感動的なラストを金平糖様にお届けできて幸いです。長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたら、その時もどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
金平糖 - 完結おめでとうございます。最後の最後でどばーーーっと涙が… 本当に、完結おめでとうございます! (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: 63ca64d519 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 実弥&左馬刻&勝己LOVEさん» 原作とはかなり性格違ってるのでは?と申し訳ないと思いながら書いてるのですが、喜んでいただけて幸いです。これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月14日 23時) (レス) id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月27日 17時

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