40話 ページ40
しのぶに叱られて、実弥も任務に向かった頃、Aはしのぶを呼び止めた。
『ねぇしのぶちゃん』
「どうかなさいました」
Aは普通に歩いて炭治郎たちの病室にやって来た。
『やっほー!お加減いかが?』
「Aさん!」
起きていたのは善逸だけだった。
グースカいびきをかいて眠る伊之助と、疲れたように眠る炭治郎。
『……ねぇ、二人はぐっすり寝てる?』
「見ての通りです」
答えながら首を傾げる善逸に、Aは笑った。
『善逸くん、ちょっとだけおいで。
胡蝶ちゃんにはちゃんと許可貰ってるから』
「え、あ、はい……」
善逸は寝台から降りると、Aの後をついて行った。
善逸は疑問に思う。なぜ炭治郎ではないのか、と。以前、炭治郎を見る人と言っていたが。
「あの、炭治郎じゃなくて、良かったんですか」
『うん、君でいいんだよ、善逸くん。
ちょっと大事なお話だから、遅い時間なんだけど、ここ、おいで』
そう言ってAが善逸を案内した先は、しのぶが入るなと言っていた道場だった。
そこは辺りがボロボロになっている。
「ひぃっ!なんなんですか!ここ!」
『何年か前に、私と風柱が一緒に稽古した時にね』
「だ、大丈夫なんですか、ここ」
善逸は震えながら、中に入っていくAを追いかける。
今にも鬼が出てきそうな雰囲気である。
「やっぱり、Aさんも柱だったんだな……」
『まぁ四年前はね』
「四年前!?」
Aは驚く善逸に手に持った木刀を投げる。
「え」
『ねぇ善逸くん、見せてよ、あなたの霹靂一閃を』
善逸は受け取りながらAを見ると。
それはそれは、今まで会ってきたどんな鬼よりも、恐ろしい雰囲気のAが居た。
「Aさん?」
『……おいで、善逸くん』
「ちょっ!Aさん!!」
『容赦しないで、本気で、私を殺す気で来な』
善逸はあまりの恐怖に震えが止まらなかった。
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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月19日 21時