24話 ページ24
その日の夜、Aは歩き回れるほど回復していた。
そこでAはふと、炭治郎の声を聞いて、そちらに入った。
『こんばんは』
「こ、こんばんは……えっと、あなたは」
Aは今の格好を見て笑う。
中に入ると、小さい金髪の子、我妻善逸と、猪の頭をした少年、嘴平伊之助が寝ていて、炭治郎だけが起きていた。
『もう忘れたの?』
「いえ、そうじゃなくて…」
『ふふ、昨日と違って今はこの格好だしね』
「何か、あったんですか?」
『いいえ、ただ撃たれただけよ』
善逸と伊之助の二人が眠っているので、Aと炭治郎は小声で話していた。
Aは炭治郎の寝台の隣に椅子を置いてそこに座る。
『妹さんは?』
「今は、寝てます。
寝不足なので」
『そっか。
実弥と伊黒くんがごめんね、ちょっかいだしちゃって』
「いえ……刺したことは許してませんが」
Aは炭治郎の言葉に笑った。
クスクス、と小さな声が響く。
「あの……?」
『ごめんなさいね、彼、ああいう見た目して、言動でしょう?
だから、よく下の隊員たちには怖がられて、誰も楯突かないのよ』
「……」
『だから、あなたは本当に、凄いなって』
「俺は兄ちゃんだから、妹を守ってるだけです」
その言葉を聞いたAは、またふふっと笑った。
それはそうだろう。
二人は全く同じだ。
目上の者に、誰かを思う一心で、衝突する。
『あなたたちは、似ているのかもね』
「え?」
『いつか分かることよ』
同じ長男同士で、
家族を愛していて、
その家族が鬼になり、
炭治郎は妹を守り、
実弥は――
「あ、あのAさん?」
Aは炭治郎の腕に手を伸ばした。
その温もりはとてもあたたかくて、胸が痛くなる。
『炭治郎くん、次の任務から、よろしくね』
Aはそう微笑んだ。
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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月19日 21時