23話 ページ23
不死川実弥side
俺はとうとう言った。
白濱に自分の感情を。
いつ自覚したかなんて覚えてない。
ただいつの間にか、伝えてた。
どこか寂しそうなオーラを出してる白濱に、そう思って欲しくないって思った。
そう思った瞬間、俺は多分、あいつのことを好きになってたんだと思う。
「にーに!」
「おう、帰るぞ寿美、貞子」
寿美と貞子を迎えて、まだ幼い貞子を抱っこして、寿美とは手を繋ぐ。
二人とも良い子だから、我儘を言わない。
まだ舌足らずな言葉で、今日の出来事を教えてくれる。
それらを聴きながら家に帰る。
そこから貞子の離乳食を冷凍から水で常温に戻しつつ、夕飯を作る。
それから玄弥が帰ってきて、さらにパートの帰りがてら弘を迎えた母が帰ってくる。
「ただいま」
「かーちゃんおかえり!」
「ただいま〜!玄弥〜!
皆良い子にしてた〜?」
そう言って妹たちを抱きしめる母。
俺はできたご飯の味見をして納得すると、寿美が食べやすいようにカットする。
「あら実弥、今日は私が作ろうと思ってたのに」
「いいよ、疲れてるだろ母ちゃんも」
俺はフライパンと鍋に蓋をして、寿美のご飯もラップして冷蔵庫に入れる。
後は父さんが帰ってきて夕飯だ。
俺は柵を超えてリビングに向かうと、ソファで弘を抱えてる母ちゃんに声をかける。
「母ちゃん、あのさ、夕飯食べて、少ししたら出かけていいか」
「どうしたの?」
「友達と、少し……」
「あら、全然いいわよ〜!
実弥もそういう年だもの〜!いってらっしゃい」
そういう母は優しく笑ってくれた。
後は、俺の勝負だ。
24人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月1日 23時