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お店の人からは祝ってもらえたし、今夜はとても楽しかった。

俊哉といると生きてるって感じがする。

人間らしくいられるのは、俊哉といる時だけだ。

だけど明日は最難関のご両親への挨拶が待っていることに気付いて、

居酒屋からの帰り道、急にテンションがダウンしてしまった。

「…あれ?
A、体調でも悪い?」

そんな私の様子に気付いた俊哉は、過剰に心配しはじめる。

急に立ち止まって、心配そうに私を顔を覗き込んで。

「ちょっと飲みすぎちゃった?
タクシーで帰る?」

俊哉は心配性だ。

私が顔色ひとつ変えただけで、実の親以上に心配して慌てふためく。

こんなに私のことを想ってくれる人がすぐ傍にいたのに、何で私は気付かなかったんだろう。









「大丈夫。
なんか緊張してきただけ。
明日、俊哉の実家に挨拶に行くと思ったら。」

「…なんだ。
てっきり具合が悪いのかと思った。
でも今日はやっぱりタクシーで帰ろう。」

俊哉は本当に安心したように微笑んでは、もう一度私の手を繋ぎ直した。

こんなに大事にされている私は、同じだけ俊哉に愛を返せてるのかな。

俊哉のことが大好きなはずなのに、私は自分のことばっかで、本当に不甲斐ない。

「どうしたら俊哉みたいになれる?」

駅前のタクシー乗り場に向かってる途中、不意にそんな質問を投げかけてみた。

俊哉は質問の意味が理解できないのか、目を丸くしてじっと私を見つめてるだけ。

「私も俊哉のことを大事にしたいんだけど。
俊哉中心に物事を考えて、俊哉の親御さん以上に俊哉のことを心配したりしたい。」

酔ってるせいもあって、ちょっと感情的になってるのかも。

最近の私は感情に抑揚がありすぎて、ちょっと不安定だから。

そんな変な質問をして俊哉を困らせるのも、ある意味私の我儘みたいなもんだよね。









「十分、大事にしてもらってると思うけどね、俺は。」

なのに俊哉は、こんな優等生な回答を返してくる。

「今日だってAは、空港で俺を見て泣きそうになってんのを我慢してたじゃん。
それって、俺に会えてうれしかったからだと思うんだけど、
泣いたら俺が困るだろうから頑張って我慢してくれてたんじゃないの?
そういうのを見ると、愛されてるなぁって、感動する。」

また精神安定剤のような俊哉の声は、そうやって私を甘やかす。

いつも俊哉の解釈は、優しすぎて困る。

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わかめ(プロフ) - キスマイさん» お返事が大変遅くなりまして申し訳ございません。そして長々と読んでいただいてありがとうございました。また宮田くんのお話を書きたいと思ってますので、その節はどうぞよろしくお願いいたします。 (2019年2月3日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - 宮田くんが大好きで色んなお話を読んできたんですが、こちらの俊くんとても素敵で優しさもカッコ良さも最高でした。素敵なお話をありがとうございます! (2019年1月14日 11時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 雪名さん» お返事が遅くなりまして、大変申し訳ありませんでしたm(_ _)mm(_ _)mキュンキュンとか言っていただけて、うれしいです。どうかまた読んでやってください♪ (2018年10月25日 22時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ランさん» お返事が遅くなりまして、大変申し訳ありませんでしたm(_ _)mm(_ _)m更新遅めではありますが、懲りずに読んでいただけると嬉しいです! (2018年10月25日 22時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
雪名(プロフ) - 君僕のとしくんボイスを聞いてから最新回を読んだので、今夜もキュンキュンしすぎて心臓が止まりそうです!ハァ…(*´艸`*)ステキな夜をありがとうございます(*ノ∀ノ) (2018年10月4日 23時) (レス) id: 773c76c745 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月8日 3時

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