原色Ａ型男子図鑑→m

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「なんだか話がどんどん進んでいくね。」

何の気なしにそう呟けば、

「怖くなった？」

なんて、俊哉は聞き返してくる。

「何でそんなこと聞くの？」

「俺はちょっと怖いから。」

どういうこと？

結婚したがったのは俊哉の方じゃなかった？

結婚して、縛られちゃうのが怖くなったとか？

「うまく進み過ぎじゃない？俺ら。
ようやく付き合うことが出来たら、今度は結婚で、
それにAの両親もあっさり許してくれたし。」

「それのどこが怖いの？」

「直前でなにか起こりそうな気がして。」

「例えば？」

「Aが心変わりするんじゃないかとか。」

俊哉があんまり静かなトーンでそう言うから、私も何も答えられなくなってしまった。

絶対、俊哉は本気でそれを心配してるんだと思う。

何がショックだったって、私はそんなに俊哉に信用されてなかったんだってことで。

私なんか俊哉は一生私を好きでいてくれるはずって、根拠もなくバカみたいに信じ切ってたのに。








「私が心変わりするとか、本気で思ってる？」

そう質問しながら、自分が涙声になっていくのに気付いた。

うわ…、最近の私は涙腺が弱くなってきたのかも。

１人でいる時も、俊哉との電話が切れたあと、何故か涙がじわっと滲んでくることがあるから。

その涙の理由はいつも分からなくて、今回もなんで泣いてるのかよく分からなかった。

私が泣き出したのを見て、俊哉は途端に慌て出す。

冷蔵庫から私の好きなコーラを持ってきたり、涙を拭くために何故かバスタオルを持ってきたり。

ちょこまかと動き回ったあとは、とうとう私の隣に落ち着いた。

隣から両手を私の肩に回しては、

「A、ごめん。
言い過ぎた。
お願いだから泣き止んで。
泣き止んでくれたら、何でもするから。」

本当に悲しそうな声で、そう訴えかけてくる。

「本当に？
何でもする？」

「する。」

あんまり俊哉が一生懸命だから、私の涙も止まりかけた。

「じゃあ、私のこと、もっと信じてくれないかな。
俊哉をそんなに不安にさせてるなんて、思ってもみなかったんだけど。」

私が泣いた理由は、きっとそういうことなんだと思う。

俊哉は慎重で疑り深いタイプだけど、私のことだけはバカみたいに安心して愛されてて欲しいんだ。

上手く言葉に出来ないけど。

つまりそういうこと。

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