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「やっぱり言いにくかった?」
俊哉は優しいから。
きっと雅ちゃんの傷つく姿を想像して、言い出せなかったんじゃないかな。
「そうじゃなくて。
すっかり忘れてたわ、雅ちゃんのこと。」
なのに俊哉は、あっけらかんとそう言ってのけては楽しそうに笑い出す。
「Aと付き合えたことがうれしくて、毎日Aのことばかり考えてたから、雅ちゃんのことを考える余裕もなかった。」
何それ。
可愛すぎかよ!!
そしてやっぱり俊哉は、恋愛体質なのかもしれない。
入社以来ずっと一緒にいたのに、俊哉の部屋に行くのは初めて。
「今夜は俺ん家に泊まる?」なんて簡単に言ってきたくせに、部屋の前まで来ると、
「10分ほどここで待ってて。」
そう言って、俊哉は私を廊下に置き去りにした。
…そんなに隠すものがあるわけ?
まあ、今日は急だったから仕方ないんだけど。
10分はゆうに経った頃、ようやく俊哉がドアの向こうから顔を覗かせた。
「いいよ、入って。」
ドアの向こうに一歩踏み入れると、そこには見たことのない俊哉の世界が待っていた。
俊哉の好きなもので溢れたその部屋は、私も好きなものばかりで、一目で気に入った。
「何を隠してたの?」
「何も。
掃除機かけて、シーツ替えただけ。
今更Aに取り繕っても仕方ないし。」
片付いてるわけでもなく、かと言って綺麗な部屋でもない。
だけどバカみたいに居心地がいい。
この部屋は、俊哉の好きなもので溢れた一つの国のようで、とても愛しく思えた。
まだ明日も仕事だからって、その夜は早目に寝ることにした。
俊哉のベッドは俊哉の匂いでいっぱいで、それが心地よくて、思わず枕に顔をうずめてしまう。
「俊哉の匂いがする。」
そう口にしたら、俊哉は困ったような声で、
「シーツも枕カバーも替えたのに。」
とか、悲しそうに言ってくる。
可愛い…。
「何で?
私は俊哉の匂い大好きだよ。
ふわーっと胸が暖かくなる。」
「…何それ。」
俊哉は多少不満そうだけど、私はそんなの気にせずに、枕に顔をうずめたまま。
…幸せだ。
こんなに幸せでいいのかな。
数か月前まで、私には横尾さんがいて、俊哉には雅ちゃんが近寄ってきていた。
だけど私達は今、こうして2人でいる。
しかも俊哉のベッドの中で、明日の朝のアラームをセットしながら。
私の選択は間違ってなかったって、今、頭と五感の全てが確信してる。
やっぱり私は俊哉を選ぶべきだったんだ。
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わかめ(プロフ) - キスマイさん» お返事が大変遅くなりまして申し訳ございません。そして長々と読んでいただいてありがとうございました。また宮田くんのお話を書きたいと思ってますので、その節はどうぞよろしくお願いいたします。 (2019年2月3日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - 宮田くんが大好きで色んなお話を読んできたんですが、こちらの俊くんとても素敵で優しさもカッコ良さも最高でした。素敵なお話をありがとうございます! (2019年1月14日 11時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 雪名さん» お返事が遅くなりまして、大変申し訳ありませんでしたm(_ _)mm(_ _)mキュンキュンとか言っていただけて、うれしいです。どうかまた読んでやってください♪ (2018年10月25日 22時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ランさん» お返事が遅くなりまして、大変申し訳ありませんでしたm(_ _)mm(_ _)m更新遅めではありますが、懲りずに読んでいただけると嬉しいです! (2018年10月25日 22時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
雪名(プロフ) - 君僕のとしくんボイスを聞いてから最新回を読んだので、今夜もキュンキュンしすぎて心臓が止まりそうです!ハァ…(*´艸`*)ステキな夜をありがとうございます(*ノ∀ノ) (2018年10月4日 23時) (レス) id: 773c76c745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月8日 3時