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お泊まり用のお布団は捨ててきちゃったから、今夜は強制的に同じベッドで寝ることにした。

部屋の明かりを消した途端、私はおしゃべりになる。

俊哉に話したいこと、聞きたいことがいっぱいあるんだ。

「何で今日は、いきなり来たの?」

「モツ鍋が食べたくなったから。」

俊哉が楽しそうに答えてくれるから、私もだんだん楽しくなってくる。

「そっちにもモツ鍋屋さんあるじゃん。」

「Aと食べたかったし。」

「素直に私に会いたかったって言えばいいのに。」

「うん。
本当はAに会いたかった。」

そんな正直な俊哉に、今度は甘えたくて仕方なくなってきた。









「俊哉、ぎゅーってして。」

そんな私の突然のお願いも、2人とも適度に酔ってるからか、

「いいよ。」

なんて、俊哉は簡単に受け入れてくれる。

頭ごとふんわりと抱き寄せてくれる俊哉の腕の中は、今まで生きてきた中で一番居心地のいい場所だった。

肩先におでこを摺り寄せればほら、胸の中が甘い空気でいっぱいになる。

「俊哉…、いつ帰るの?」

平静を装って聞いたはずだったのに、何故か寂しげな声になってしまった。

実際…、寂しいんだけど。

もう手に入らないと思ってたから、俊哉とこんな風にして過ごす時間は。

「日曜日の夜。」

「…そっか。」

その言い方も、やっぱり寂しそうな言い方になってしまった。

私はどうも、自分の感情を隠すのが下手みたいだ。









「何?A寂しいの?」

俊哉はからかうように、ぎゅーっと強く抱き締め直すと、

「でも多分…、俺の方がもっと寂しかったよ。」

って、私なんかよりももっと、寂しそうな声でそう言った。

調子に乗った私は、

「どれくらい?」

とか、更に追及してしまう。

今夜は俊哉のそんな言葉が、聞きたくて仕方ないんだ。

私を必要としてるって証明してくれるような言葉が。

「Aがいなくなってから、毎日が全然楽しくない。
ごはんも美味しくないし、会社も面白くない。
だからAに会いたくなって、突発的に来ちゃった。」

その言葉に大満足してるはずなのに、貪欲な私はもっともっと欲しくなる。

「嘘つき。
雅ちゃんと楽しく過ごしてるんじゃないの?」

「たまに飲みには行くけど…。
正直申し訳ないけど、Aのいない隙間を埋めたくて利用しちゃってるようなもんだから。」

「その隙間、埋まった?」

「全然。
あの子といると、余計に寂しくなる。
Aに会いたくなって。」

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わかめ(プロフ) - キスマイさん» お返事が大変遅くなりまして申し訳ございません。そして長々と読んでいただいてありがとうございました。また宮田くんのお話を書きたいと思ってますので、その節はどうぞよろしくお願いいたします。 (2019年2月3日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - 宮田くんが大好きで色んなお話を読んできたんですが、こちらの俊くんとても素敵で優しさもカッコ良さも最高でした。素敵なお話をありがとうございます! (2019年1月14日 11時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 雪名さん» お返事が遅くなりまして、大変申し訳ありませんでしたm(_ _)mm(_ _)mキュンキュンとか言っていただけて、うれしいです。どうかまた読んでやってください♪ (2018年10月25日 22時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ランさん» お返事が遅くなりまして、大変申し訳ありませんでしたm(_ _)mm(_ _)m更新遅めではありますが、懲りずに読んでいただけると嬉しいです! (2018年10月25日 22時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
雪名(プロフ) - 君僕のとしくんボイスを聞いてから最新回を読んだので、今夜もキュンキュンしすぎて心臓が止まりそうです!ハァ…(*´艸`*)ステキな夜をありがとうございます(*ノ∀ノ) (2018年10月4日 23時) (レス) id: 773c76c745 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月8日 3時

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