【呪術廻戦】最強の義妹は塩にぎりがお好き〜呪術甲子園・起首雷同編〜 (ページ14)

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第十二話　審判ページ14

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やる気満々でグラウンドに出る。ピッチャーは歌姫先生らしい。

歌姫先生、野球好きらしいけど、まあ言うて三十路なわけですし？？こちとら現役ＪＫなんで？？なんとかなるっしょ、なんて…

思っていた私もいました(過去形)。

ボールが飛んでくる→『今だ！』って思う→バットを振る→何故か微妙に当たらない→またボールが飛んでくる→『今だ！』って思う→バットを振る→何故かバットが空を切る…。

待って！？！？既に二振しちゃってるんですけど！？！？

焦りで心臓がバクバクし始めて、手汗がえげつないことになってる。

お義兄ちゃんの「ツーストライク！」を待っていると…。

「…ボウル！」

「『はっ！？』」

いやいや、振ってますけど！？歌姫先生と私の声が重なる。振ってるんだから、例えストライクゾーンに入ってなくてもストライクになっちゃうよね！？ルールあってる！？(混乱)

「なに言ってんの、五条！今のはどっからどう見てもストライクだったでしょーが！」

「え？だって僕"見てなかった"もん。審判が見てないんだからボウルでしょ？」

「おいこらふざけんな！！んな無茶苦茶なことが通るわけないだろーが、シスコン審判！」

歌姫先生が声を荒らげてお義兄ちゃんに詰め寄ろうとする。

まずい、これは野薔薇ちゃん乱闘事件の再来になってしまう…！

私は慌てて二人の間に割って入り、歌姫先生を押し留めた。

『ま、まあまあ、歌姫先生落ち着いて…。お義兄ちゃんも、今のは明らかにストライクだったからさ！ね？』

「そーよ、義妹の方がしっかりしてるじゃないの」

「んーそう？ま、Aが言うならそういうことで」

「こんのっ…シスコン野郎が！！」

思いの外あっさり引いたお義兄ちゃんに、余計な怒りを使ってしまった歌姫先生がさらに苛立たしそうな顔をする。

『試合再開しましょー！』と、不自然なくらい明るい声で歌姫先生の背中を押して元の位置に戻した。

ふぅ…なんか疲れた…。私もバッターボックスに戻って、もう一度バットを握る。

不意に背後から声をかけられた。

「A。集中」

『…うん、分かってる』

ストンと腑に落ちる。さっきのお義兄ちゃんのあからさまな言動の理由。普段、場の空気なんて欠片も読まない人だけど、自分の都合だけで不必要に空気を悪くする人ではない…はず、だから。

気付けば激しく鳴っていた心臓は緩やかになり、手汗もすっかり引いていた。

…こんな理由だったってバレたら、また歌姫先生に"シスコン"って言われちゃうよ、お義兄ちゃん。

私は深く息を吸うと、投球フォームに入った歌姫先生と、放たれるボールに全神経を集中させた。

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