第三十七話 誘拐 ページ46
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トントンと手際良く出口を潰していく。3人がかりで潰しているからか、想像よりずっと早く祓えそうだ。
『よし、あとちょっと__』
ゴールが見えてきて少し気を抜き、ふと後ろを振り向いた、ら。
『っ、野薔薇ちゃん!』
「!?」
突然、壁に穴が開いて、出てきた腕が野薔薇ちゃんの腕を掴んだ。
近くに居た伏黒くんが「釘崎!!」と叫んで手を伸ばす。野薔薇ちゃんは穴に吸い込まれながらチッと舌打ちした。
「問題無い。アンタらはもぐらを叩け」
『のばっ…』
伏黒くんと、遅れて伸ばした私の手を掠めて野薔薇ちゃんが完全に穴に飲み込まれる。
「クソッ!!」
「釘崎!?」
少し離れた場所でキモい呪霊と戦っていた虎杖くんも振り返った。
「おほっ。何だぁ?兄者かぁ??俺もっ」
「!!」
呪霊がダッと駆け出して、野薔薇ちゃんを飲み込んだ穴に飛び込む。虎杖くんは「あ"ぁ!?逃げた!?」と焦ったようにこっちを見た。
「どうすんの!?」
『えっ!?』
いや私に聞かれても!!!私も『どうすんの!?』と伏黒くんを振り返った。
「そのまま追え!!釘崎もさっきの呪霊も結界の外に出たんだ!!予想以上にめんどくせぇのとバッティングしてるかもしんねぇ!!逆にこっちは想定よりずっと楽だ!!1人で何とかなる!虎杖と銀野は釘崎優先しろ!」
伏黒くんの半ば怒鳴り声に近い指示に、虎杖くんと2人で顔を見合わせてコクリと頷く。虎杖くんが、トプッと体を半分穴に入れた。
「……やばくなったら伏黒も出てこいよ…!」
シッシッと手を払う伏黒くん。虎杖くんが完璧に穴の向こうに消えたのを確認して、私も穴に腕を突っ込んだ。
片足を入れようとして、一瞬止まる。パッと伏黒くんを振り返って言った。
『ヤバくなったら呼んでよ?』
「…分かってる」
絶対だからね、という念を込めた視線を伏黒くんの背中に突き刺して、一気に穴を潜り抜ける。
伏黒くんに、"奥の手"は絶対使ってほしくない。ていうか使わせない。"守る"と決めた私の、ささやかな覚悟のうちの1つだ。
瞬間の暗闇から外に出るとき、クッソ頼もしい…という伏黒くんの呟きが聞こえたような気がした。
すっと目を開ける。領域の外に出たからか、充満していた呪いの気配が消え去った…代わりに。
「お遣い?」
「?てっきり同じお遣いかと…」
『??え、どういう状況???』
やたらキモい格好をした変態みたいなヤツと、殺気を溢れされる野薔薇ちゃんが目の前に居た。
…てか虎杖くんは何処!?
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