２０：分岐点 ページ21
「だから言ったろう？私から逃げるのは不可能だって！」
目の前の男は高らかに笑う。一方、私は為す術もなく、ただ呆然と彼を見つめていた。
そうか。私はこの男に出会った時点でもう遅かった。希望を失うことが決まっていた。そう確信すると、涙ではなく笑いが込み上げてきた。諦めと虚しさが私と男の笑い声に紛れ、流れていく。
男は最初に言った。これから行くのは地獄だと。
『ははっ……本当だった』
ここは地獄だ。終わりの見えない地獄。
抜け出せないのなら、自分でこれを終わらせるのみ。
震えもしない手を首にかける。しかし、男はそれを止めた。
「何をしている？」
『……もう終わりにするの、何もかも全部』
「どうして？」
どうしてと言われても、と私は言葉を詰まらせた。これだけの事をしたのだ。きっと、次の瞬間にはこの男から罰が下される。さらに彼は唯一愛した人だ。好きな人に自分の醜い姿を晒し続けるほど、地獄のようなことはない。
だから早く、私を解放して欲しい。
その暖かい手で殺してほしい。それが今の私にとって唯一の救いだ。
静かに彼からの報復を待つ。すると、首に衝撃が走った。あの時と同じ痛み。
「ふざけるな」
怒りを含む声が頭上で響く。彼の爪が首にくい込んでいくと同時に、私の意識も朦朧としていく。
そう、そのまま怒りと憎しみを私にぶつけて。早く私を＿＿＿＿
「……終わらせるわけがないだろう？」
続く (更新停止中)
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異端(プロフ) - 凄くどストライクな作品です！！更新楽しみにしてます！ (2021年4月11日 2時) (
レス) id: 22d2735c29 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 金魚きんぎょさん» 読んでくださりありがとうございます！完結まで頑張ります！ (2021年1月4日 22時) (レス) id: 88753b0337 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 勿忘草さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！ (2021年1月4日 22時) (レス) id: 88753b0337 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 天 元なっつ。さん» そう言ってもらえると自信つきます！ありがとうございます(*^^*) (2021年1月4日 22時) (レス) id: 88753b0337 (このIDを非表示/違反報告)
金魚きんぎょ(プロフ) - この作品好きです！更新楽しみにしてます！！ (2021年1月1日 23時) (レス) id: c103e928da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちご | 作成日時：2020年12月31日 16時
