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1:救い ページ2

あれから男は多くのことを話した。
名前は夏油傑、年齢は18歳。
非呪術師を殺して呪術師だけの世界を作りたいこと。
その目的を果たすためのひとつとして、両親を自分の手で殺めたこと。
そして、親友を裏切ったこと。




「君も仲間に入る?」

『なか、ま……?』

「そう、仲間。見たところ君も私と同じ側の人間だしさ」




人間……と言ったのか?私を?


男の言葉に驚いて目を瞬かせる私を、彼は真っ直ぐな瞳で見つめてきた。
何を考えているのか、何を見てきたのかわからないほど真っ黒な色をしたそれに、自分の心まで吸い込まれそうになる。








「君は化物なんかじゃない。立派な人間だよ」








____________
________
____








離れろ、醜い化物め。


こっちを見るな。


この村から出ていけ。








蘇る、暗い記憶。


罵声を浴びて、ろくな食事をとることも無く、風呂に入ることも許されない日々。
牢屋の隅には大量の虫が湧き、それらが自分の足の指から頭までよじ登る。
唯一の救いは、週に数回出される米と漬物だけ。それも村の心優しい子どもが、自分の晩飯を食べずに持ってきてくれたものだった。
その子は後に謎の死を遂げ、光ひとつない悪夢のような生活が始まった。




とても人間とは思えない扱い。
幸せどころか、普通の人生でさえ諦めていた。
しかし今はここにある。
きれいな衣服を着て、一汁三菜そろったご飯を食べて、明るい光がついた家にいる。




『…う"ぅぅ……あ"っ、あああ"あ"あ"!!!』








____暖かい。




ついに救われた。
暗闇の中から、温かい陽の光がある世界へ。
嗚咽をもらす私の背中を、男は優しい手つきで撫でる。その行為がさらに私の感情の波を掻き回し、涙が床に染みをつくっていく。




『げとう、さま……っ!夏油様っ、!』




すでに地獄へと続く道を歩いていると知らぬ愚かな私を、夏油様は柔らかな笑みで見守っていた。
それは傍から見れば不気味なものだが。




2:目覚め→←0:地獄への扉



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設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑 , ヤンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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異端(プロフ) - 凄くどストライクな作品です!!更新楽しみにしてます! (2021年4月11日 2時) (レス) id: 22d2735c29 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 金魚きんぎょさん» 読んでくださりありがとうございます!完結まで頑張ります! (2021年1月4日 22時) (レス) id: 88753b0337 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 勿忘草さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます! (2021年1月4日 22時) (レス) id: 88753b0337 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 天 元なっつ。さん» そう言ってもらえると自信つきます!ありがとうございます(*^^*) (2021年1月4日 22時) (レス) id: 88753b0337 (このIDを非表示/違反報告)
金魚きんぎょ(プロフ) - この作品好きです!更新楽しみにしてます!! (2021年1月1日 23時) (レス) id: c103e928da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いちご | 作成日時:2020年12月31日 16時

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