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何も知らない1 ページ3

「今日も、帰ってこなかったなぁ」

いつものように二人分作ってしまい、余ってしまった料理を冷蔵庫へしまう。

これが日課になった。


片付けを済ませ、自分の部屋へ向かう。

必要なものしか無い広い家の端、小さな部屋に駆け込む。

扉を開ければぬいぐるみの山。

その中心に置かれた布団へダイブして一番のお気に入り、猫のぬいぐるみを抱きかかえる。

「明日は、帰ってきますように。」

自分の体温で温かくなったぬいぐるみと眠りについた。






「やっぱり、Aの料理はおいしいね。」

見慣れた食卓が、その存在だけで温かくなる。

――毎日続けばいいのに。

――ずっと、一緒にいたいのに。

でもこんな願いが叶う筈がない。

だってこれも、


目の前の景色が歪む。

大好きなおにいちゃんの顔も歪んで、黒い塊へと変わった。






――夢、なんだから。

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作者名:詩織 | 作成日時:2016年11月6日 11時

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