何も知らない13 ページ15
考えても、答えなんて出てこない。
分かっているのは、僅かなこと。
渡された服に手を通し、着ていた制服を畳んでいると、中原さんが部屋へと入ってきた。
その手には、金色に輝く鍵が握られている。
足につながれていた鎖は、床の上に無造作に散らばった。
先を行く中原さん。
その先に見えたのは、大きな扉。
入りたくない。
その考えは無情にも、ノック音に返事をする声によって打ち砕かれた。
開かれた扉の先には案の定、森さんと金髪の女の子の姿。
「やぁ、Aちゃん。よく眠れたかい?あ、中原君は戻っていいよ。」
その言葉に中原さんが、一礼し部屋を出ていく。
ニコニコと笑う森さんの目は、私を射抜いていた。
後ろで扉が閉まるのが分かった。
「・・・何の御用でしょうか。」
こんなことを聞いても、答えなんて薄々気づいている。
「君の異能って強いよね。だから、こっちのお仕事を手伝って欲しいんだ。」
「あっ、そうだ。君の上司はもう決まっているよ。」
私の意志なんて皆無だ。
森さんの視線は、そんな私から外れ扉の先へ。
同時に響くノックの音。
それにつられて振り向くと、そこには黒い外套を着た彼が立っていた。
「・・・芥川さん。」
その声に気づいたのか、こちらを向く芥川さん。
瞳には、驚きが映っていた。
「よく来たね、芥川君。彼女は今日から君の部下だよ。」
「ちなみに、今からこの仕事を一緒にしてきてね。結構人数多いけど、Aちゃんがついているから問題ないだろう?」
「・・・・・」
苦虫を噛み潰したような顔で、渡された書類を見る芥川さん。
大変な仕事だったのだろうか?
二人がかりということは、荷物運びだろうか、といろいろ考えた。
一つ分かったこと、ここは芥川さんの職場、
―――ポートマフィア、だということ。
森さんに一礼した芥川さんは、私の手を掴むと部屋を出ていった。
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作者名:詩織 | 作成日時:2016年11月6日 11時