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何も知らない10 ページ12
「そ、そうでしたか、す、すみません。お邪魔しました。」
頭を下げて引き返す。
早く、早く。
ここから逃げ出さなくては。
あと少し、扉へ手を伸ばした時、森さんの低い声が響いた。
「逃がすわけにはいかないよ。ねぇ、中原君。」
「は、」
瞬間、身体が重くなった。
立ち上がることが出来ないくらいに。
「っ、何が。」
――分からない。
中原さんが近づいてくる。
「悪いな、だが、逃げられると困るんだよ。」
手が私の頬へ触れた。
「ッいぁ」
自分の身体が床へと押しつぶされたような感覚。
息がうまくできない。
最後に映したのは、驚いたような目でこちらを見る中原さんとさっきと変わらない目でこちらを見る森さんだった。
中原さんの表情の理由も、
―――わからない。
森さんの考えていることも、
―――わからない。
おにいちゃんのことでさえも
―――わからない。
私は、『何も知らない』
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作者名:詩織 | 作成日時:2016年11月6日 11時