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何も知らない0 ページ1

日が昇った。

静かな空間に、少女の立てる音だけが響く。

「いってきます。」

そう言っても誰も何も返ってこない。


心のどこかでそれに気づきながら、それでも止めることが出来ないのは、帰ってきてくれると信じているから。


冷たくなった心を、押し潰しながら。

学校へ足を進めた。

友達と、他愛もない会話を楽しんだり、授業を必死に聞いたり。

それを繰り返していれば、終業のチャイムが鳴った。

足早に家へと帰る。

「ただいま。」

玄関には、少女の靴が一足。

その隣、空いた空間には何も並んでいない。

少女の声だけが、広い室内にこだました。


――今日もまた、帰ってこないのかな。

その呟きは、誰かに聞かれることもなく。消えていった。

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作者名:詩織 | 作成日時:2016年11月6日 11時

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