19.そして私たちは伝説となった ページ19
これは呪いではなく伝説なんだと思うことにする。
・
「もうこの流れ飽きたよね」
「………………………」
「あっ、無視ね」
筆箱やらノートやら鞄やらを持って私の隣にやってきた爆豪くんは、黙って椅子に腰かけた。いっそ清々しいほどの無視。通算n十回目の隣の席とは思えない打ち解けなさである。
席替えだった。雄英生になって二度目の、爆豪くんと出会ってからは数えていない回数の。
当たり前のように隣だった。私たちは伝説となった。
「や、やばいね。どうなってんの？」
私の前に移動してきた尾白くんも流石に引いていた。
「尾白くん代わる？今からならバレないかも」
「いや、Aさんたち既にめちゃくちゃ見られてるから無理だよ」
苦笑いする彼に言われてハッとなる。みんな何かを言いながらこっちを横目で見ていた。うわっ、何この注目のされ方。すごく嫌だ。
後ろからばしばしと背中を叩かれる。麗日さんだ。
「あははっ！Aちゃんどんまーい！！」
「どんまいってンだコラ丸顔！！！」
「急にキレる！！！そんなだから爆豪くん、Aちゃんにこんなお通夜みたいな顔されとるんだよ！」
「ざッッけんじゃねえ俺にだって不満はあるわ！！」
何故か爆豪くんと麗日さんが言い合いを始めたのを菩薩のような顔で見届ける。
ふと、我らが緑谷くんと目が合った。
やめてくれ、そんな憐れんだ目で見つめるのは。
・
(ていうか、普通に爆豪くんも可哀想になってきた)
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作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
