17.爆発さん太郎(王子) ページ17
きっと彼のファンの団扇にはでかでかと「爆破して♡」とでも書かれていることだろう。
・
咄嗟に避けたが、頬を掠めて肉が裂かれた。多分、ほんのちょっとだけ切れてる。
頬を血が伝っている感覚にビビり散らかす私。ヒーロー志望にあるまじき雑魚さである。
「ぴぇえええええ」
「なんだその声…ほら、降参しろ」
これ以上痛いの嫌だろ、お前も。
私の顔スレスレのところに氷柱みたいな命に関わる氷の塊投げてから言うことではない。私は轟くんが分からない。
もういっそ殺してくれよお……とぐずぐず駄々をこねる。ヒーロー志望にあるまじき雑魚さである。
「痛いのも降参すんのも嫌だ。どうしよう轟くん」
「俺に聞くな」
「せめてこの氷とってほしい」
「降参したら解いてやるよ」
俺はお前に世話になってるから、これ以上痛めつけたくない。と真顔で言い放つ彼。一歩、また一歩と間合いに入ってくる。
一応じんわりと炎を出せる準備をしておくが、これ以上の放出は火傷を招く。
ああ、私は死ぬのか。クラス一の王子様に逆らったから殺されるんだ。
神様は結局美形の味方をするんだ。いや、今回のこれは私の弱さが敗因か。
今までの人生がシャボン玉のように浮かんでは消え、浮かんでは消えてゆく。え？走馬灯？
走馬灯か…………
さようなら、爆豪くん。
ん？
「いや、なんで爆豪くん？」
「んだよクソ女」
「えっ」
轟くんの手から繰り出された氷。
それが爆音とともに砕け散った。
私と轟くんの前に立ちはだかる、露出度が無駄に高いコスチュームの彼。
「……いや、なんで爆豪くん？」
・
(まるでピンチに駆けつける王子様)
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作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
