11.顔面の温度差でしぬ ページ11
確信犯でも無自覚でも、どっちにしろ弄ばれてる。
・
「何キレてんだよ」
「……………………」
「シカトかよ」
無言で彼の前を歩いた。私は怒っているのだ。免疫の無い乙女を馬鹿にして散々弄んだこの爆発野郎に、怒っているのだ。
いつもは口喧嘩しながらでも一緒に教室まで帰るけど今日はそうしてやらないことにする。
爆豪くんはため息一つついて「ガキかよ…」と呆れていたけど、これも無視。うるせーフレグランス野郎。いい匂いしやがって。
足早に歩いて爆豪くんを撒く。
「A、やっと会えた」
「え、あ、轟くん」
不意に後ろから声がかけられて振り返ると、そこには紅白頭のイケメンがいた。
さっき放送室まで爆豪くんを追いかけ回した俊足の轟くんである。
「ごめん、なんか用あった？」
頰っぺに溜めてた空気を抜いて轟くんに笑いかけたが、轟くんは不思議そうに首を傾げた。
「……A、なんか顔赤くないか？」
「え」
嘘、もう引いたと思ったのに。
別に轟くんに爆豪くんのせいで赤くなったことがバレた訳ではないのに、なんだか無性に恥ずかしくなってまた顔が熱くなる。
あ、だめだ、思い出してしまう。
羞恥心が抑えられなくて下を向いていると、ひんやりした感覚が頬を触れた。
「保健室行くか？」
轟くんの右手だった。
彼が個性を利用して、私を冷やしてくれていたのだ。
心優しい。このイケメン、性格までイケメンときた。あいつとは大違いじゃないか。誰とは言わないけど。
・
(でも、それじゃ余計顔に熱が集まるよ、轟くん)
12.こういうのも青春っていうのかな→←10.そういうとこやぞ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4335人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
