第八章〜八瀬の里と不知火〜 ページ26
海「またね!百合!」
空「今度は、お団子屋さんでねー!」
後ろから、空と海の声が聞こえる。百合は後ろを振り返らずに、右手を高く上げて二人の言葉に答えるように大きく手を振った。
百合「まったく、あの二人は…永延の別れのみたいのじゃないんだから。大袈裟過ぎるんだよ。でも」
ありがとう。
・
・
・
・
百合「それにしても、また新しい情報が入ったな」
百合「新選組…か」
ヒューーー
その時の百合の小さな吐きは、風の音によってかき消された。
?「誰かと思えば姫さんじゃねぇか。こんなところで何してんだ?」
百合「え?」
天霧から聞いた新選組の事を考えていたら、突如頭上からなんとなく聞いた事があるような声が聞こえた。
百合「不知火!?」
顔を上げると、昔見た見慣れた顔があった。
匡「あぁ。不知火だが。てゆうか、俺以外誰がいんだよ」
百合「まぁ、確かに」
不知火の正論に頷く。
あれ?でも、なんでここにこいつが居るんだ?
百合「お前、確か長州じゃなかったか?」
匡「そうだぜ」
百合「では、なぜ、長州のお前がここに居る」
匡「なぜって…俺はここの八瀬の里の姫さんに用があって来たんだよ」
・ ・ ・
百合「不知火」
匡「なんだ?」
百合「お前今ここが八瀬の里、と言わなかったか?」
匡「言ったがそれがどうしたんだ?」
不知火は百合のアホな質問に少し戸惑う。
おいおい、姫さんはさっき言った事も忘れたっていうのかよ。
匡「お、おい。お前、大丈夫か?」
百合「大丈夫。至って正常だ」
どこがだよ、と不知火は心の中でツッコミを入れた。
百合「それで?なぜ、お前はここに居る?」
匡「いや、だからここの姫さんに用があって来たって言ってんだろ?」
百合「こ、ここは八瀬の里なのか?」
匡「あぁ」
こいつほんとに大丈夫か?
匡「姫さんこそ、なんでここにいんだよ」
百合「我は、風間に用があって薩摩に行ってきた。それで一人で考え事しながら帰ってたらどうやら八瀬の里まで来てしまったようだ」
匡「え?ひ、姫さん。風間のとこから、考え事しててここまで来たのか?」
百合「そうだ」
匡「ぷっ」
百合「?」
百合は不知火の様子に?マークを浮かべる。
百合「どうしたのだ?」
匡「ぷっ、あははははは!姫さんあんた、やっぱおもしれえな!」
💢
百合「不知火ぃー!貴様」
匡「くくく、だって」
【次回屈辱】
33人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年9月16日 21時