帝の門と吸血鬼 第三章

百四帝 ページ9

体を翻し、伸びてきた腕を蹴り上げる
そのまま、鞘から剣を抜き取る

主【悪いね。私はまだ、ここで止まれない】

暮「家畜は卒業だ‼ 今日 俺たち人間は吸血鬼を
克服する‼ 」

始まる。人間と吸血鬼の全面戦争が
自由を取り戻そうとする貪欲な人間と
それを支配しようとする傲慢な吸血鬼
まさか、それの板挟みになるなんてね

暮「さあ 実験が完成するまでの時間を稼ぐぞ‼ 」

一瞬の沈黙。皆が意を決し闘志を鎮め

暮「人類の未来を切り拓けえええ‼! 」

《おおおおおおおおおおおお‼! 》

一度鎮めた闘志と殺意を爆発させる
指揮官の鼓舞により、それが動いた
私は本来、高みの見物で終わったのに
その全てが私を捕らえ利用しようとする
過去に起こした誤ちが今になって返るか

主【……ねぇ、私って哀れだと思う？】

ク「そうだね。目も当てられないくらいに」

主【ん〜、それなら計画変更だ。
混乱に乗じて、私もここから逃げる】

地を剣で抉り、視界を覆う爆風を起こす
その隙に、乱戦に突っ込む彼らに混ざる

主【鬼共、優達を援護し離脱するよ】

実体化した鬼が動きを止め、耳を傾ける
気持ち悪いほどの数だか、誰も死なない
始祖の血を引く私の鬼が死ぬはずもない

優「絶対…誰も死なずに…‼
ここを切り抜けるんだ‼ 」

君「おい馬鹿‼ あんま前に出すぎん…‼ 」

優「…え」

ギリッと歯を噛み締め、剣を握り直す
最悪の展開だ。何故、奴がここにいる

優「お…おまえ無事だったのか‼? グレン‼! 」

ミ「グレン…？」

主【優ッ‼ そいつを殺せッ‼! 】

ガギィンッ

優「え……」

優を狙った一撃はミカエラに止められる
困惑するのも無理はないが、奴は違うよ
一瀬グレンだなんて、思わない方がいい

ミ「やっぱり人間を信用してなくてよかった」

グ「邪魔だぞ吸血鬼」

優達の盾になるように身構える
グレンを睨み付けるが、もう無駄だ
彼の興味は他のことに注がれている

グ「生け贄の人間と鬼と始祖の血を吸え…
《終わりのセラフ》」

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