帝の門と吸血鬼 第三章

百二十三帝 ページ28

何処か駅のような場所で一時休憩している
名目上はトイレ休憩だが、もう関係ない

フ「みんなトイレ休憩長いねぇ」

ク「きっと変態誘拐犯からどう逃げようか相談
してるんだよ」

フ「………あ、もちろん変態ってクローリー君の
ことだよね」

ク「フェリド君のことだよ」

と、まぁ人間らしい会話をしている
そういう私は彼らの会話には入っていない
ただ、自分の拳銃を見ながら黙ったままだ

主「(邪射、最近冷たいなぁ…)」

名古屋の一件から数ヶ月間逃げ続けたが
ピンチになることもなく、邪射を使わず
生活していた
とはいえ、毎日顔を合わせようとはした
今まで通り他愛ない会話をしているけど
どこかひんやりとして、何かを考えている
邪射なりに何か感じることでもあるのかな

主「(邪射がいないと夜が寂しくてつまらないし、
かといって他の子は…)」

他の五体の鬼を自分の奥底に封じ込めたこと
それを後悔する日はないと思っていた
でも、こうも静かになるとも思っていなくて
今更封じを緩めて意識の中に浮上させたって
許してもらえる気がしなくて一歩が出ない

ク「A、大阪湾に行くんだってさ」

主「へぇ、そうなんだ」

あっさりとした返答をする
クローリーが何を言ったか聞こえてないけど
とりあえず返事はしておこうと言った感じだ
色々と考えていて、周りのことに興味がない

主「(力を引き出すには鬼との融合率を上げて、
鬼呪促進剤を服用……するわけにもなぁ)」

これが覚醒薬ということは知っているから
飲みたくない。副作用で体が腐っていく
一度腐るとなかなか調子が出てこない上に
気分も悪くなる。父さんの置き土産だろう
あの人は、私のことは実験材料として接し
扱っていたから。勿論、愛などなかった

ク「何？そんなに大事な考え事？」

主「……脅かすなって」

顔の前を大きな手が何回か往復していた
この距離に来るまで気付かない方も悪い
どうやら、シノア達も帰ってきたようだ

ク「何考えてたの？」

主「いやぁ…、個人的なことだからなぁ…と」

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