帝の門と吸血鬼 第二章

五十四帝 ページ7

ストッ

着陸させた機体から飛び降りる
名古屋って確か、吸血鬼の巣窟だよね
ヘリが降りて来たところを目撃すれば
仲間が来たと思いやってくるはずだ

吸「何だ貴様……」

予想通り、うじゃうじゃと湧いて来た
餌を振りまかれてるとも知らないで
罠に掛かる間抜けがこれまた多いこと

主「久々に行くよ〜、【炎欄朱】」

ゴォォォオオ

辺りが炎の渦に包まれる
この炎自体にも鬼の呪いがあるから
吸血鬼からすればひとたまりもない
面白いくらいに消えてくれるもん

主「炎に巻かれて死ね、吸血鬼…」

大通りに響き渡る多数の断末魔
吸血鬼なんて、楽に死なせないよ
人間を罵り続けてくれた借りは返す
母は実践の材料にされて死んだ
父は吸血鬼に殺されて死んだ
全ての元凶は彼らなんだろうけど









ク『好きだよ、……A』









ホント、調子が狂ってしまう
私に深い愛を与えたのは彼だけだ
それだけで、どれほど幸せだったか
借りは返さないと気が済まないの
生かしてあげる、クローリーだけは

炎【あはは、派手に殺ったな〜】

軽い口調で話しかけてくる炎欄朱
相変わらず、世間のことには無頓着
欲望を好むタチの悪い鬼だ

主「派手な演出、君は好きでしょ」

炎【まぁ、この炎は僕が出したわけだし
派手なのは好きかな〜】

炎欄朱は具現化する槍型の装備
接近戦にも対応できるようにと思い
槍術も抜かりなく覚えた
西條家の当主なら、できて当然だよ

主「今日は君を思う存分暴れさせるから
ちゃんと働いてもらわないと困るよ
欲望だって食べきれないほどあるん
でしょ？私の中には……」

炎【働くって、そんな心配しなくても
君の欲望は他とは比べられないほど
膨大すぎる量だからね〜】

人間は欲の塊だと言われるけど
私以上に力を欲する者を見たことが
ないと鬼達が口を揃えて言う
力って、誰でも欲しいと思うでしょ？
こんな壊れた世界で最も必要だと
どんな馬鹿な人間でも理解できるはず

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