帝の門と吸血鬼 第二章

五十三帝 ページ6

バラバラバラバラ

頭上から聞こえるプロペラ音が
名古屋に近づいていることを知らせる
この機内にいるのは一般吸血鬼が
30人強いるだけで、貴族はいなかった

吸「おい、そろそろ名古屋に……」

ザシュッ ゴトンッ

吸「貴様っ！」

吸血鬼の首を素手で斬り落とした
もちろん、こいつは死んだよ
鬼呪で殺したわけじゃないんだから
死体は地面に転がっている

主【あは、運搬ご苦労様〜】









それからはとても酷かった
機内にいる吸血鬼は皆殺しにしたよ
床と壁と天井は真っ赤に染まってる
吸血鬼を殺すのって快感なの

主【隣のやつも堕としちゃおうかなぁ】

カチャッ

スナイパー型の銃を具現化させる
気配を殺し、一点だけを見つめる
壁の向こうから感じる生命力のみで
場所を完全に把握することができる
血祭りに上げてあげようじゃない

主【撃って〜、逃がしちゃ駄目だよ〜】

ドンッ

けたたましい音と共に銃弾が飛ぶ
それは空中で分かれて弾け散る
隣にも20人程度の吸血鬼しかおらず
闇を纏う銃弾が吸血鬼を殺した
一寸の狂いもなく的確に急所を貫き
赤黒い塵へと変貌させた

ガキンッ

最後に当たった銃弾はプロペラの
根元を打ち砕き、コアを失った鉄の
機体は勢い良く地面に堕ちて行く

主【………あぁ、少しうるさかった？】

シュゥゥ…

具現化していた銃を掻き消して
吸血鬼化していた肉体を元に戻した
銃撃音が近くで聞こえるのは不快か

主「人間を信頼するのは駄目だからね
これだけは教えておいてあげる…」

返事など来るはずもない
動くことをやめた白い布切れは
この薄暗い空間に酷く鮮やかに映る
何だろうね、このソワソワする気持ち

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