帝の門と吸血鬼 第二章

八十九帝 ページ41

蒼月丸を構え直して立ち塞ぐ
軍のくだらない遊びはもういい
私はもう、人間でないのだから

優「お前…！仲間じゃなかったのか！？」

主【家族ごっこなんてやめたんだよ。
私は孤独、誰の関与も受けない】

父によって消された人間味
今となれば、感謝しきれない
悪魔になれたから力を得られた
鬼の時以上の快楽が渦巻いている
力が手に入るのは気持ちが良くて
どこまでも狂って行けそうだった

人間は弱くて脆く、寂しがり屋
だから群れの中でしか生きれず
こんな世界では一人になれない
でも、私は永遠孤独を手に入れた
力があるからこそ与えられた自由
それを無駄にするのは愚かだろう

優「………俺は仲間を斬らない」

主【化け物の私を家族だと言うの？
あは、とんだお人好しだなぁ…】

"仲間"と言われて、少し悲しくて
同時にちょっぴり嬉しかった
かつて、私を受け入れたグレン達
その時の光景が目に浮かんで来た
あの時は、泣いてしまうかと思い
歯を食いしばったが無駄だった
幼き日に、涙は枯れていたからだ

ク「A、下がってて」

クローリーが前に出る
彼なら私を守ってくれるから
貴族クラスじゃないとダメだった
こんな、醜い化け物を守れるのは
彼くらいしかいないんだと思った
だから、着いて行くしかないのか…

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