帝の門と吸血鬼 第二章

六十七帝 ページ19

残されたデータを解析してみると
今年には全てが終わりそうだった
お父様に作られた肉体からすれば
どの研究も私の体には適していた
怖いくらいに、順調に進んでいる

主「あは、こんなこと教えちゃっても
いいのか分からないけど……いいや

お父様が行っていた研究は二つある
『人工的に人間を吸血鬼化する』
『世界を歪め破壊する悪魔に堕とす』
まだまだあったけど、大規模な事は
この二つだったんだよ。
私はお父様に、悪魔にされそうに
なっていたわけなんだよね〜」

ク「悪魔……」

主「もう少し、もう少しで実験が終わる。
私は更に力を手に入れられる」

完璧な者なんて存在しない
それなら、『完全』になればいい
お父様は私を利用し続けた狂人だよ
でも、育ててくれた恩を返したい
だから終わらせる、お父様が残した
実験の全てを終わらせる……！

邪【A、我を失っちゃ駄目だよ】

邪射の声が脳に響く
突然で対応できずに驚いてしまった
危うい、もう少しで我を忘れてしまう
ところだった……

主「クソッ……」

お父様の怨念が取り憑いている
あまりに執着し過ぎたせいだろう
断ち切ることが出来ていないらしい
一刻も早く、縁を切らないとね……

主「セロは君の子だ、私のじゃない。
もう関わるな、敵同士の赤の他人
私は研究を投げ出すわけには……」

ブワァァ

鬼の力を解放し、体に纏う
肉体の吸血鬼化に成功したからこそ
私は力を手にすることが出来た
誰よりも強く、誰よりも気高くなる
高みに立つためには手段を選ばない

主【クローリー・ユースフォード
私のことは、早く忘れた方がいい】

両手に片手銃を装備する
少しでも近づけば本気で撃つよ
今回ばかりは本気で、心臓を貫く
彼が敵だと認識しなければならない
甘えるな、敵を殲滅するために求めた
全てを壊せるだけの力を欲したの

ク「はは、君は残酷だなぁ」

主【残酷……、私に似合う言葉だなぁ】

ガシャンッ

窓を蹴破り、そこから飛び降りる
これは、正しい選択だったのかな？
彼は愛を与えてくれた恩人なのにさ
幸せなんて、私には贅沢過ぎるんだよ

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