僕はこの夏、君に溺れる。【赤葦京治】

Drowning in you-11 ページ13

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アイスを舐めながら来た道を戻っていく。


もう夏も近いし、というか夏だし、

ちょっとずつアイスが溶けてきている。


早く食べなきゃなと思いながらも

チョコが美味しくてゆっくり少しずつ食べてしまう。



このアイスは京治くんが奢ってくれた。


流石だよねと思う反面、

申し訳ないとも思う。


100円なのに、奢ってもらっちゃって。


今度私もお返ししよっと。




「アイス溶けてるよ」


『う、べたべたする……』


「はは、垂れてる」




そう言われ、手を見ると

少しだけチョコが垂れている。


これ、服についたら嫌だなぁ……




『噛まないとダメかあ』


「え、そりゃ舐めてたら溶けるよ」


『キーンってくるからなって』


「あぁ……なるほど」




前歯とかで噛むとキーンとする。


まあ、それがアイスの特徴なんだろうけど

私はその感じがあんまり好きじゃない。


かき氷とか特にね、

頭痛くなるよね、美味しいけど。




＊ ＊ ＊



なんとか噛んでようやく完食。


アイスはやっぱり美味しい。


そして、京治くんと他愛ない話をしてたら

いつの間にか私の家の前で。



京治くんの家はここから近くはない。


なのに最後まで送ってくれて。




……やっぱり、かっこいいよなぁ。





『送ってくれてありがと！』


「もう遅いから、当たり前だよ」


『もー……京治くんも気をつけてね』


「俺は男だから大丈夫」


『だけど、でも、気をつけてね！』




そう言うとうん、と笑いながら頷く京治くん。


バイバイ！と手を振ると

こっちを振り返って手を振り返してくれる。



早く家に入りなよと口パクで怒られた。


それさえ、キュンとしてしまう自分が居て。


重症だなぁ……。




付き合ってもないのに、

両想いでもないのに、


知らない間に

溺れちゃってるんだ。



抜け出せない、沼に。





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