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「 なぁ、ほんまに大丈夫なん？ 」
「 大丈夫やって！いざとなれば逃げればええねん！ 」
「 あほっ...！声でかいねん！ 」
いひひ、って白い歯をいっぱい見せながらイタズラっ子みたいに笑うしげの姿はほんまに悪事を働こうとしてるガキそのものや。
まぁ、今から夜の学校のプールに侵入するっていう悪事を本気で実行しようとしてるやけど。
突然しげから遅い時間に呼び出されて何事かと思えば第一声には「学校行こ！」やった。
ほんまにしげの頭の中ってどうなってんねやろ。
渋るおれに対して「お願いやってぇ」って猫撫で声で言うてくるしげに呆れつつも結局一緒になって学校の敷地に忍び込もうとしてるおれも大概こいつに甘いんやろうけど。
夜の学校ってやっぱりちょっと不気味。
せやけどプールのことしか頭にないんかしらんけど、しげはというと上機嫌に鼻歌まで響かせながらプールまでの道を歩くから怖さもどこかにいってしまう。
だって、こいつやったらオバケとも仲良くなってしまいそうやし。
プールまで無事に辿り着いたかと思えばしげは服も脱がんと走って勢いよく水の中に飛び込んでいきよった。
跳ね上がる水がプールサイドのタイルの色を変える。
ゆらゆらと揺れる水面には月の明かりが反射して真っ暗の中でもしげの姿はちゃんと捉えることができた。
着替えなんて持ってきてないのに相変わらず感情で突っ走るしげは楽しそうにはしゃいどる。
おれはカナヅチやしプールサイドに設置されたベンチに腰掛けてその様子を見ていた。
「 神ちゃーん！足くらいつけたらええやん！ 」
「 ええよ、おれは 」
「 えー？あ、みてみて！クラゲ〜 」
着てた白のTシャツに空気を含んで水面にドーム型に形をつくっては必死におれにみせてくるしげ。
ほんまちっちゃい子みたいにすぐ興味の矛先が変わる奴やな。
はいはい、とテキトーにあしらうと飽きたのかしげはまた泳ぎ出した。
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作者名：いえやす | 作成日時：2022年5月24日 21時
