昔の恋をもう一度（濵） (ページ13)

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望が、好きな人と口パクで伝えてくる。

「あー、ほら、好きな人とかおらんやったん？
なんか同窓会の日に男おったやん。
あの人と付き合ってたんやろ？」

花は電話越しに笑っている。

望もニヤニヤしながら見ているし、
ほんまに何やねん、この状況。

『あれは確かに元彼やけど、好きな人やないよ。

好きな人は別におったから。
それが原因で私とも喧嘩してたんやし』

そこまで言って、電話越しに

『ねぇ、誰？』

と声が聞こえてくる。

『ん？崇裕』

『ちょ、待ってや。あほ！
何の話ししてるんかなって思ったら、
いらんこと言わんといて』

電話先が騒がしい。
どうやら、Aちゃんも側にいたらしく、
慌てて電話を止める声はAちゃんのものだった。

と言うことは、俺のわけわからん質問も
Aちゃんに聞かれてしまった？

最悪や。
顔から火出そう…。

『ごめんなー、切るで？』

それを最後に電話が切れた。

「好きな人、何やって？」

望に急かされて、言われた言葉をそのまま伝える。

「どゆこと？

…あ、もしかして、花ちゃんとAちゃんの好きな人が
同じやったんちゃう？笑」

「ん？あー、やから喧嘩してたってこと？

誰やろ…」

そう言うと、望が溜息をついた。

「ほんま、濵ちゃんあほやなぁ…」

望の言葉はあまり理解できなかったが、
さっきの電話で声を聞いてから全身が熱い。

望の酒の匂いにやられたかな。