春色の夕陽【向井康二】 (ページ9)

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「あっ次体育か！」

　

6限は体育みたい。

　

「今日はバスケしまーす」

　

　

……げ。最悪。

　

バスケ苦手なんだよね。

　

「お。Aと同じチームやん」

「えっ康二？」

「なしてそないに驚いてんねん」

「や、男女別々かなーと」

「んー俺はお前と一緒、嬉しいわ」

　

頑張ろな。って髪の毛クシャッてして

同じチームの男子のとこへいった康二。

　

気のせいか、耳が真っ赤。

　

　

……そういうわたしも何故か、からだがあつい。

　

　

「おーい円陣しよーや」

「あっうん！！」

　

手招きされて、円陣をつくる。

　

アホみたいだけど、なんか楽しい。

　

「勝つでーー！」

「「おーーー！！！」」

　

　

　

去年はこんなこと出来なかったなぁ。

　

　

「もうさっきから何ポケーっとしとんねん。はよ試合やるで？」

　

康二は、全然話を聞いてなかったわたしの手を引っ張って

コートに並んだ。

　

　

ピーッてホイッスルがなると

みんななんか動き出すけど

　

　

「ま、待って。なにすればいいの！？」

と運動音痴が炸裂。

　

　

「康二シュート！」

　

けれど、康二のシュートを決める姿は

はっきりと捉えられた。

　

　

……あれ。なんでわたし

康二のことばっかり見てんだ。

　

　

「あっ」

　

今度は、相手のチームの人が保持していたボールを取る康二。

なんていうか軽やかで、カッ……

「って、危ない」

「え？」

　

声のする方を咄嗟にみた。

　

凄い音がして

視界が真っ暗になって、

　

なにがあったか気づいたときにはもう

　

立てなくなっていた。

　

　

「ご！ごめん！！」

　

謝ってくるのは、同じチームの男子で

目の前にいるのは康二。

　

「大丈夫か？！」

「うん」

　

立てるは立てるのだが

足にはズキズキとした痛み。

挫いたのかな。

　

　

「ほんま？」

「うん。ビックリして腰が抜けただけ」

　

ほら始めるよー。って足の痛み無かったことにして

笑って、試合を再開させた。

　

　

このあと家帰るだけだし

保健室は行きづらい。

　

んーどーしよ。

　

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