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無言の車内。
いやそれはいつもか。
ときどき鼻をすする音が聞こえて、
ちらっとバックミラーを見ると窓の景色を眺めるA様。
学校行くん、楽しそうやったし、お別れも相当辛かったんやろな…
俺になんか出来ることはないやろか……
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ドアを開けて、シートベルトを外す。
「ぁりがと…」
小さな声でそう言って車を降りてった。
こんな時でも、お礼言うんを忘れないのはA様ぐらいやろう。
ちょっとだけ笑みがこぼれた。
玄関を開けて、自分の部屋に向かうのを慌てて追いかける。
「卒業って、こんなに寂しいんだね」
そう呟いてベッドに座るA様。
タオルをぎゅっと握りしめて、
目からは今にも涙がこぼれそうだった。
「明日からは、もうみんなと同じ教室でおはようとか言うこともないし。」
「ですが、また会おうと思えば会えますよ。」
「会おうと思わないと会えないじゃない。」
ああ言えばこう言う…
「軽岡先生の授業ももう受けられないのか…
大瀧先生の英語分かりやすかったなぁ……」
こういう時なんて言ったらええの？
俺がおるからええやん？
「……へ？」
A様がパッと俺の方を向く。
「…え？どうかされました？」
「いま……『俺がおるからええやん』って…」
赤面しながら言うA様。
うっそ！声に出てたん！？
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作者名：ちい
| 作成日時：2017年10月9日 0時
