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「おめでとう、A」
仕事帰り、約束通りサチに焼肉を奢ることになって。(この時点でビール飲んで、カルビと上ミノにハラミ、牛タン…めちゃくちゃ食べてる。そろそろ勘弁して…)
先週の華金に、無理やり後輩を押し付けてまで定時に上がった理由を案の定根掘り葉掘り聞かれ、芋焼酎のロック片手にサチが、キメ顔で放った一言がこれだ。
あんたはおっさんか。
「どういうこと？」
「いやだって、Aさ、今までの恋愛思い返してご覧よ」
「うーん…」
「あんた、今までまともな恋愛してなかったじゃん。最後に付き合った人に別れ際に言われたセリフ、思い出してご覧よ」
確か、
「本気で俺に愛される気あった？」
「そうそれ、ほんとつくづく男運ないなって同情したんだからね私」
そう言って、上ロースと芋焼酎の水割りを頼んだサチ。そういえば、この人食べても太らないし、お酒もめちゃくちゃ強いんだった。
「でも、Aも悪いところあったじゃん？だって、何回かあんたの恋愛相談乗ってきたけど、持って2ヶ月だったでしょ？実は本気で好きじゃないようだったし」
「そんなこと！」
「無いって、言いきれる？」
うっ。相手の男性には凄く凄く申し訳ないけど、本気で好きで、本気で愛してたか、と言われれば…
「言いきれないよね、だよね」
「えっ、私まだ何も」
「言ってなくてもわかるよあんたの表情見てれば」
「うそん…」
「付き合いは2年そこらかもしれないけど、結構な頻度で呑みに行ってるし、歴代のあんたの彼氏知ってるんだからね、なんならここで名前挙げてっても良いけど？」
「やめて…」
サチには隠し事は出来ないな…
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作者名：とらい | 作成日時：2019年6月18日 22時
